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【戸田和幸の眼】トッテナム、戦力充実で飛躍の1年に。証明した特大のポテンシャル【16/17シーズン総括】

シリーズ:16/17欧州主要クラブシーズン査定 text by 戸田和幸 photo by Getty Images, Natsuki Nakazawa

格下相手の「取りこぼし」がチェルシーとの差に?

ケイン
ハリー・ケインはシーズンを通してトッテナムのキーマンであり続けた【写真:Getty Images】

 取りこぼしたと書いた4つの引き分けについても、レスター戦以外はアウェイゲームだったので一概に「取りこぼした」とまでは言えないのかもしれませんが、優勝を目指すチームとしてはやはりしっかり勝っておきたかった試合だと思います。

 一方、優勝したチェルシーが引き分けた3試合の内訳を見てみると、システム変更前のスウォンジー戦(第4節 2-2のドロー)と年が明けてからの2試合、リヴァプール戦(第23節 1-1のドロー)と雨風が厳しいコンディション下でのバーンリー戦(第25節 1-1のドロー)と、いずれもアウェイゲームでした。

 ホームでの引き分けはひとつもなく、30勝の大台を突破したのはチェルシーだけです(スパーズ=26勝、シティ=23勝)。スパーズの方がチェルシーよりも敗戦の数が少なことも考えると、引き分けの数がそのまま勝ち試合の数に影響し、最終的な勝ち点の差につながりました。

 また、スパーズが引き分けた試合の中でWBA戦、ボーンマス戦、レスター戦と3試合続けて取りこぼしてしまった時期は、ケインが怪我で欠場していました。

 ケインの控えもしくは相棒という立ち位置でオランダのAZから(フィンセント・)ヤンセンを獲得しましたが。やはりオランダとイングランドにおけるセンターFWというポジションに求められる役割の違いとリーグのレベルの高さに苦しみ、移籍初年度は思うような結果を残すことができませんでした。

 他にも(エリク・)ラメラの怪我もありましたし、(ジョシュア・)オノマーや(ジャン=ケビン・)エンクドゥなど有望な若手も控えてはいましたが、戦力として計算するにはもう少し時間が必要だとわかったシーズンだったと思います。

 そうしたところで考えると、じきにワールドクラスと呼ばれるようになるのは間違いないケイン不在時のオプション不足が露呈してしまいました。シーズン中盤戦以降ソン・フンミンが覚醒し素晴らしいパフォーマンスを見せるようにはなりましたが、新シーズンに向けてヤンセンがどれくらいプレミアリーグにフィットできるかも重要な要素になります。また、引いた相手を崩す戦い方にも若干の課題が残ったシーズンだと言えると思います。

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