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レスター、あまりに拙速な監督解任。組織崩壊すら想起させる、オレ様オーナーの“職権濫用”【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

確かに成績は芳しくない。だが敗戦の内訳は…

シェイクスピア前監督(左)と会話するスリヴァッダナプラバ・オーナー(右)
シェイクスピア前監督(左)と会話するスリヴァッダナプラバ・オーナー(右)【写真:Getty Images】

 たしかにレスターはつまずき、9節終了時点で2勝3分4敗の17位。オーナーのヴィチャイ・スリヴァッダナプラバにすれば納得できない成績であり、シェイクスピアを解任する理由にはなる。しかし、4敗の内訳はアーセナル、チェルシー、ユナイテッド、リバプールと、想定内といえなくもない。

 また、会話が極端に少なくなったと伝えられるラニエリ体制の末期と異なり、今シーズンのレスターからネガティブなムードは感じられなかった。アップルトンやフクスの証言でも、シェイクスピア体制の継続が現場の一致した意見のように感じられる。

 それでもスリヴァッダナプラバ・オーナーは、シェイクスピアを解任した。よほど評価が低いのか、個人的に合わないのか。奇跡のリーグ優勝を遂げた一昨シーズン以降の功績を踏まえれば、シェイクスピア解雇はあまりに拙速すぎる。

 現場の意見を汲みあげ、プレミアリーグを熟知している人間がオーナーに進言できるような組織であれば、シェイクスピア体制は維持されていたに違いない。クラブに愛情を捧げず、「カネを出しているのだからオレ様の言うことを聞きやがれ」的な発想では、この先も多くは望めないだろう。

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