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長友佑都 6年前

長友不在のインテル、今季最大の苦戦も勝利に変えた“耐久力と狡猾さ”

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

細かな守備戦術修正で耐え、3点とも得意な形でゴール

 まず一つ目のポイントは、インテルが29分の先制点のチャンスまでにしっかり耐えたこと。カリアリの猛攻にさらされる中、彼らは細かく守備戦術の修正を図って対応した。

 インテルは4バックで守る。ところがこの試合はハイプレスでボールを奪われた後、相手のウイングバックの対応が遅れてチャンスを作られた。ディフェンスラインが守備を整えても、MFの戻りがかみ合わず、アウトサイドがガラ空きになってしまうのである。

 そこでスパレッティ監督は、18分過ぎに指示を出した。守備の際は5バックにするという対応だ。ダニーロ・ダンブロージオが中央に絞り、アントニオ・カンドレーバが右サイド深くに引き、左サイドでは2試合連続でスタメン出場を果たしたダビデ・サントンが張る。こうしてアウトサイドを抑え、なんとか相手にフリーでクロスを上げさせるような状況は回避した。

 そしてもう一つのポイントは、戦術的に仕込まれた武器があったということ。この日インテルが重ねた3点は全て、右サイドからの速攻だった。その全てにクロスの名手カンドレーバが絡んでいるが、彼の攻撃がちゃんと実るのもチーム戦術の浸透あってのことだ。

 1点目は、右クロスに反応して裏へと飛び出したイバン・ペリシッチの動きが決定的となった。左でボールの推進役となるクロアチア代表MFは、逆サイドからの攻撃にはファーでストライカー的な詰めを行う。DFの背後を取って鋭角に走り、クロスに反応する。折り返しが中央のマウロ・イカルディに渡り、ゴールを呼んだ。

 2点目、少ないパスでゴールへと到達するというチームの約束事が実った。ボールを奪うと、右のオープンスペースへ飛び出したカンドレーバに一気に展開される。スピーディーな縦の展開を完結させるべく味方も動き出し、カリアリ守備陣の戻りが間に合わない中央のスペースにはマルセロ・ブロゾビッチがちゃんと走り込んでおり、あとはシンプルに折り返すだけで得点へと繋がった。3点目は、サイドで一旦ボールをキープするカンドレーバをフォローして、ロベルト・ガリアルディーニがタイミング良く飛び出す。この動きにカリアリのDFラインは揺さぶられ、最終的にイカルディをフリーにしてしまった。

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