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長崎総附FW安藤瑞季、最後は出場停止で敗退も「絶対に泣かない」。C大阪での飛躍誓う

text by 編集部 photo by Hiroyuki Sato

安藤瑞季
長崎総附のエースFW安藤瑞季は準々決勝出場停止。応援席から精一杯声を出して仲間たちを鼓舞した【写真:佐藤博之】

 第96回全国高校サッカー選手権大会の準々決勝が5日に行われ、千葉県代表の流通経済大柏が長崎県代表の長崎総科大附属に3-0で勝利を収めて3年ぶりのベスト4進出を果たした。

 敗れた長崎総附は絶対エースが不在だった。2日の2回戦と3日の3回戦でそれぞれ1枚ずつイエローカードを受けていたFW安藤瑞季が累積警告で出場停止。5日の流経大柏戦は応援席から見守った。

「応援席から見ていて、自分は声援を届けようと一生懸命声を出していたんですけど、やっぱり勝負はそんなに甘くなかった。自分がピッチに立っていなくても、誰よりも自分が勝ちたいと思っていました。

負けて高校サッカーが終わったんですけど、最後試合には出られなくて、みんなあんなに思い切り戦ってくれて、その姿を見たら自分は3年間やってきた高校サッカーに思い残すことはない。できれば負けた姿は見たくなかったし、本当は自分が勝たせたいという気持ちがあったんですけど、それでも一生懸命戦ってくれた仲間に感謝しています」

 準々決勝の出場停止が決まった3日の青森山田戦後、「できることは宿舎とかにもいっぱいあると思う。そこは俺が率先して全部やって、チームの勝利にちょっとでもより良い方向に向けば。自分は信じます」と全力サポートを誓っていた。

 しかし、最後は流経大柏に力負け。それでも安藤に後悔はない。「(試合後は)みんな泣いていて、『ごめんな』と言われたんですけど、それはむしろ全然『ごめんな』じゃなくて、俺からは『お疲れ様』しかいえないと言うか…本当に頑張ってくれて、『俺は後悔ないから』ってみんなに言ったんですけど、本当に頑張ってくれた仲間には感謝しかないです」と、懸命に戦ってくれたチームメイトたちへの思いを口にする。

 特に苦楽を共にしてきた3年生への思いは強い。「(3年生は)最高っすよ。だからこそ勝ちたかったですし、勝たせてやりたかったという気持ちはすごくあった。今まで点を取って勝たせていた分、今日は出られないというのは、自分の中でうまく回っていない何かがあって、本当に悔しい。でもあいつらの前では自分が涙を見せてはいけないなと思っていたので、絶対に泣かないとは決めていました」と安藤は言葉を紡ぐ。

 高校サッカーでの戦いを終え、次なる戦いの舞台はプロの世界へと移っていく。安藤は新シーズンからセレッソ大阪への入団が内定しており、2017シーズンに国内二冠を達成したチームでの競争に身を置くことになる。選手権で不完全燃焼に終わった悔しさを新たな挑戦にぶつけていくつもりだ。

「これからはプロサッカー選手として生きていく、それでご飯を食べていくという中で、結果が求められると思います。だからこそこれからは歳上の選手たちがライバルなので、自分もサッカーの時は負けじとプレーして、コンスタントに点を取るだったり、結果を残して、FWとしての価値をどんどん出していけたらなと思います」

(取材・文:舩木渉)

【了】

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