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「巨大な財政力が競争を破壊した」。ヴェンゲル、昨今の過剰な移籍投資に警鐘

text by 編集部 photo by Getty Images

ヴェンゲル
アーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督【写真:Getty Images】

 ヨーロッパ主要リーグの冬の移籍市場が閉幕し、本格的に後半戦へと突入しようとしている。各国で熾烈なタイトル争いが……そんな矢先にアーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督が昨今の異常さに警鐘を鳴らしている。英『BBC』などが伝えた。

 アーセナルも今冬の移籍市場では近年稀に見る大規模な投資に踏み切った。ピエール=エメリク・オーバメヤンの獲得が最たる例で、その他にも大黒柱であるメスト・エジルとクラブ市場最高額の給与で契約延長にこぎつけるなど積極的な動きを見せていた。

 だが、ヴェンゲル監督は「予測不可能性が低下している。ヨーロッパの5大リーグを見たとき、12月には4つのチャンピオンを我々はすでに知ってしまっていた」と語った。確かに今季、イングランドではマンチェスター・シティが、スペインではバルセロナが、ドイツではバイエルン・ミュンヘンが、そしてフランスではパリ・サンジェルマンがすでに首位を独走している。

「その状況は我々のゲームが正しくないことを意味する。いくつかのクラブの巨大な財政力が、競争を破壊してしまっている」

 唯一、セリエAだけはナポリとユベントスが1ポイント差で熾烈な首位争いを展開している。とはいえイタリアのクラブは近年、ヨーロッパの主要リーグの中でも存在感が希薄になってきてしまっている。それは移籍市場における立ち回りにおいて他から遅れをとっていることからも明らかだ。

 今冬の移籍市場でもアーセナルをはじめとしたプレミアリーグのクラブ、あるいはスペインのバルセロナなどは巨額を投じて有力選手を買い集めた。年々移籍金の水準は上昇傾向にある。ヴェンゲル監督は自分たちがいつかこの流れについていけなくなるのではないかと危機感を抱いているのかもしれない。

【了】

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