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バルサを支える最高の脇役。『個』をつなぐ接着剤、ラキティッチが放つ“銀色”の輝き【西部の目】

バルセロナにおいて、イヴァン・ラキティッチは決して主役ではない。だが、縁の下の力持ちとしてチームに不可欠な存在だ。セビージャで王様だった男は今、最高の脇役としてまた違った光を放っている。彼がいるから、バルサはさらに輝く。(文:西部謙司)

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

スイス生まれのクロアチア人

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イヴァン・ラキティッチは“脇役”としてバルサを支えている【写真:Getty Images】

 生まれも育ちもスイス、U-17にはじまってU-21まではスイス代表だった。クロアチア紛争が起きる前に両親がスイスに移住していたからだ。父親と兄がサッカー選手という家庭でイヴァン・ラキティッチがプロ選手への道を歩んだのは自然の成り行きのようだ。

 7歳でバーゼルの下部組織に入り、2005年にトップチームに昇格。16歳のころにはヨーロッパでは知られた存在になっていた。

 2007年にドイツのシャルケ04へ移籍し、4シーズンを過ごした後にスペインのセビージャへ。3シーズンで117試合に出場して27得点、13/14はEL優勝に貢献した。このシーズンはキャプテンも務め、チームの中心として活躍している。

 ラキティッチは中盤ならどこでもプレーできる。正確なボールコントロールとパス、運動量もありコンタクトも強い。ゲームが読めて強烈なミドルシュートからの得点力もある。セビージャでは途中からポジションを1つ上げてトップ下でプレーしていた。このころのラキティッチは中盤でボールを受けて的確に散らし、ゴール前で得点に絡む仕事をする典型的なトップ下タイプにみえたものだ。2014年にバルセロナへ移籍した当初も、シャビ・エルナンデスの後継者という触れ込みだった。

 ところが、バルサでのラキティッチはプレースタイルを大きく変化させている。

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