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チェルシーが堕ちた過ちの連鎖。監督軽視、短略的プラン。今こそ再生への一歩を【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

コンテ監督の退任→サッリ新監督の流れは…

アントニオ・コンテ
チェルシーを率いるアントニオ・コンテ監督【写真:Getty Images】

 ロッカールームの対立が外部に漏れる体質もイメージダウンであり、強化担当責任者のマリアナ・グラノフスカヤは交渉能力に不安がある。シーズン中盤からエデン・アザール、ティボー・クルトワがエージェントやメディアを通じて移籍をにおわせているのは、上層部に対する牽制だろう。「現有勢力では勝てない。ただちに即戦力の補強を」と訴えている。

 しかし、ワールドクラスの獲得は難しくなり、近年の補強から推察すると、アブラモビッチも無理をして競合する意欲はさらさらないようだ。

 転換期がやって来た。

 経済力という最高の武器を奪われた事実を肝に銘じ、短期型のチーム創りを改めなくてはならない。チェルシーではモチベーションを刺激できないD・ルイス、セスク・ファブレガス、ペドロ、ウィリアン、いつまで経ってもうまくならないガリー・ケイヒルといった30代の選手とは契約せず、中堅・若手を軸とする中長期型への大胆な生まれ変わりこそが、再生のための第一歩だ。

 早ければ5月中に、遅くともワールドカップが開幕するまでにコンテ退任→マウリツィオ・サッリ(現ナポリ監督)就任との噂もあるが、指揮官の首を挿げ替えるだけでは元の木阿弥だ。

 戦略家として申し分のないコンテに時間の猶予を与えるとか、ホッフェンハイムのユリアン・ナーゲルスマン、シャルケ04のドメニコ・テデスコといった30代の監督を抜擢するとか、人事でも抜本的な改革が必要だ。

 直近3シーズンで二度もチャンピオンズリーグの出場権を失ったいま、現行のチーム創りを続けることには無理がある。しかし、組織の土台を見直す絶好のチャンスと前向きに捉え、シティとの大差を徐々に埋めるプロジェクトに着手しなければならない。チェルシーほどのクラブであれば、まだやり直せる。

(文:粕谷秀樹)

【了】

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