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チェルシーが堕ちた過ちの連鎖。監督軽視、短略的プラン。今こそ再生への一歩を【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断 text by 粕谷秀樹 photo by Getty Images

マンCの出現によって市場でもピッチ上でも後手に

 いや、15/16、17/18シーズンだけではなく、チェルシーは成功と失敗が交互に訪れるチームだ。03年、ロマン・アブラモビッチが買収したことによって、ウェストロンドンの曲者に過ぎなかった彼らは瞬く間に世界の強豪にのし上がった。ロシア人オーナーの財力で次から次へとスターを獲得し、歴史と伝統を誇るユナイテッド、アーセナル、リバプールと並び、ビッグ4と称されるまでに至っている。

 しかしアブラモビッチは、監督に関して無頓着が過ぎた。買収後、15年で14人というデータが、監督軽視を物語っている。モウリーニョは3回のリーグ優勝をもたらしたが二度解任され、カルロ・アンチェロッティも10/11シーズンにダブルを獲得しながら、翌シーズンは負傷者続出という不測の事態が考慮されず、あっさりとクビを切られている。

 そしてルイス・フェリペ・スコラーリは7か月、アンドレ・ビラスボアスは9か月で、ともにオーナーと懇意にしていた主力との軋轢が主因でチームを追われた。監督としては歓迎すべき環境ではない。

 要するにチェルシーはアブラモビッチのもと、経済力を拠りどころとして目先の結果だけに囚われてきた。しかし、彼らを上まわる財力を持ち、なおかつジョゼップ・グアルディオラという名将のもとに中長期のプランを築きつつあるマンチェスター・シティの出現によって、ピッチ上でも市場でも魅力的な存在ではなくなりつつある。昨夏の補強がすべて失敗に終わり、この夏も主力の退団報道が目立っているのは、自業自得だ。

 したがって、今後も市場では後手にまわる。パリ・サンジェルマンは無尽蔵のATMだ。プレミアリーグではトレンドを追求するシティ、トッテナム、リバプールが選手間で支持されているようだ。

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