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チェルシー、サッリ・スタイルの浸透は? そこに見られた魅力と脆さ、不可欠な存在とは

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

随所でみられた脆さ

 チェルシーの攻撃陣はすでに高い完成度を誇っている。11人全員が共通意識を持って試合に取り組んでいる様子が伺え、お互いがお互いを理解しているからこそ、速くて正確なパスワークが生まれるのだ。シーズン初期段階でこれだけのものをチームにもたらしたサッリ監督はさすがと言うべきか。しかし、守備時の課題はまだ多い。

 この試合を観戦していた人全員が同じことを思ったはずだ。「クロスに対する処理が甘いな」「何回同じ形で崩されているんだ」と。チェルシーはサイドを突破され、低い弾道のクロスに対して反応できないという場面が何度も見られた。

 原因はいくつかある。まずCBのダビド・ルイスとアントニオ・リュディガーは基本的にボールウォッチャーになってしまっている。クロスを上げる選手と中にいる選手を同時に確認するのは難しいが、少し意識がボールホルダーに向きすぎている印象は否めない。

 そして守備時に全員の意識が後ろへ向きすぎているという問題。例えば37分のウィリアンが自陣低い位置でボールを奪われ、アーセナルのカウンターに繋がったシーン。ここでは左サイドをイウォビに突破された瞬間、チェルシーの選手たちは全員がペナルティエリア深い位置まで戻っていた。しかしマイナス方向に入ってきたムヒタリアンにクロスが通ってしまい、あっさり失点。ジョルジーニョは慌てて寄せに行ったが、遅すぎた。

 その他の場面でも、何度か危ない場面はあった。攻撃時には意思疎通ができているが、守備時にはまだバラバラになっている印象は強い。シーズンはまだ始まったばかりだが、リーグ優勝のためにはこの点の改善は必須だ。チェルシーの更なる成長に、期待したい。

(文:小澤祐作)

【了】

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