フットボールチャンネル

チェルシー、サッリ・スタイルの浸透は? そこに見られた魅力と脆さ、不可欠な存在とは

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

今節も圧巻だった背番号5

ジョルジーニョ
今季よりチェルシーでプレーするジョルジーニョ【写真:Getty Images】

 後半、エデン・アザールを投入したことによりチェルシーの勢いがさらに増した。しっかりとボールを繋ぎながら、より効果的な攻めに転じられるよう選手たちが流動的な動きでアーセナル陣内をかき乱した。

 そして83分、アザールが左サイドを突破し、中央へ低いクロスを供給。これをマルコス・アロンソが冷静に沈めて3-2とした。試合はこのまま終了し、チェルシーは開幕2連勝、一方のアーセナルは2連敗となった。

 試合はスコア通り拮抗した。しかし、試合後のスタッツではホームチームが大きく上回っていたことがわかる。支配率は62%:38%、パス成功率も89%:82%、シュート数も24本:15本とアーセナルをほぼ圧倒した。前述したサッリ監督が求めるサッカーを遂行したチェルシーの勝利は必然だったのかもしれない。

 中でもジョルジーニョの貢献度は今節も高かった。背番号5は最終ラインからパスを引き出し、ビルドアップをサポート。そしてSBとCBの間に流れ込む選手の動きを見逃さず、正確なロングフィードを当てた。先制点の場面でも、起点となったのはジョルジーニョだった。

 データにもジョルジーニョという男の存在の大きさが随所に表れている。この日、同選手が記録したパスの本数は99本。これは両チーム合わせて1番多い数字となっている。パス成功率は驚きの92%という数字を叩き出したのである(フル出場を果たした選手の中では2番目に多い数字)。『Who Scored』によるレーティングもチーム2番目タイとなる94点が与えられているのだ。

 サッリ監督が求めるサッカーを一番に理解し、それを体現できるのがジョルジーニョである。試合の中でも身振り手振りで味方選手に指示を送り、より効果的で無駄のない組み立てを中盤の底からサポートした。まるでピッチ全体が見えているかのような視野の広さ、そして狭いスペースにも簡単にボールを送り込めるその技術の高さ。チェルシーはジョルジーニョなしでは現在のような強さが発揮できなかったはずだ。そしてアーセナルはこの背番号5を捕まえきれなかったのが、敗北の要因の一つに挙げられるだろう。

【次ページ】随所でみられた脆さ

1 2 3

KANZENからのお知らせ

scroll top