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代表 6年前

じゃんけんも負けられない日本戦…韓国が得た最高の宝物。兵役免除とはどれほどの価値か?

text by キム・ドンヒョン photo by Getty Images

「じゃんけんすら負けられない」日韓戦の激闘

 決勝の相手が日本だったことは、このドラマにより劇的な演出を加えてくれた。日本はアジア大会にいつものように21歳以下の選手を送り出した。A代表と兼任の森保一監督が指揮を執るとはいえ、韓国とはタレント力に差が出てもおかしくない。しかも準決勝から決勝の間に前田大然を怪我で欠く事態も起きた。紛れもなく日本の戦力はベストではなかった。

 だとしても日韓戦は日韓戦。韓国では「日韓戦ではじゃんけんですら負けてはならない」というほどの尋常ではない日本に対する敵対心がある。日本がベストでなくとも、韓国としては勝って花道を飾りたい気持ちが強かった。

 だが蓋を開けて見ると試合は思うようにはいかない。韓国は前半、幾度となくチャンスをモノにできず苦戦した。日本が堅守で韓国をうまく封じる場面が続いた。ソン・フンミンやファン・ウィジョが積極的に仕掛けるも、ゴールをこじ開けることができない。

 後半になってもこのムードは変わらない。日本はしっかりと引いて、そこから韓国守備陣の裏のスペースを狙ってきた。三好康児のゲームコントロールも中盤で輝いた。韓国のFWが牙をむき出すにするもゴールには繋がらず、結局延長戦へと進んだ。

 間違いなく韓国にとっては危機だった。だが、ここで主人公が登場した。時間を少し巻き戻して、2014年9月14日。場所はタイのバンコク。4年前のAFCU-16選手権準々決勝で行われた日韓戦。バルサ仕込みのイ・スンウが2ゴールを叩き込み、日本を破った。あの冨安健洋を置き去りにし、60mの果敢なドリブルの末、GKをかわしてのゴールが出たあの試合だ。

 そのイ・スンウが4年後のアジア大会決勝で魅せた。延長前半3分、鮮やかなシュートで小島亨介が守るゴールを破った。そして過激なゴールセレブレーションを披露する。その8分後には大会期間、不誠実な態度が指摘されていたファン・ヒチャンが頭で2ゴール目を獲得した。日本が追撃のゴールを決めるも届かない。結局、韓国が念願の金メダルを手にした。

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