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メッシ、メッシ、メッシ。圧巻の背番号10番。PSVを無力化、“神の子”と呼ばれる、その理由

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

違いを生んだ背番号10のプレー

 メッシはこの日のハットトリックにより、CL通算103得点目を達成し、さらに同舞台で14シーズン連続ゴールという大記録を樹立。CL14シーズン連続ゴールというのは、かつてレアル・マドリーで活躍したラウール・ゴンサレス氏に並び、史上2番目の達成者だという。

 CL開幕初日から圧巻のパフォーマンスを披露したメッシ。得点シーンで違いを生んだのはもちろんのこと、この日のPSV戦ではそれらの場面以外でも背番号10の高質なプレーが何度か見受けられた。

 例えば4分、ロングボールを右サイドで受けたS・ロベルトが、横並びになっていたメッシへパスを出したシーン。ここではチャンスにもならなかったし、大したプレーでないことは確かなのだが、パスが出たタイミングのメッシの動き出しに注目していただきたい。背番号20がボールを受ける前までの背番号10は、受け手側の選手より少し前の位置にポジショニングしていた。しかし、S・ロベルトがボールを受ける直前になって、相手DFを確認しながら背番号20と横並びとなる位置へ移動。その動きを見逃さず、メッシへパスを出したS・ロベルトも見事だったが、ほんのわずかな動き出しで相手DFと距離を置き、パスを呼び込んだ背番号10の判断は光っていた。

 さらに15分、左サイドで味方がパス交換をしながら崩しの糸口を探っていた場面。反対サイドにいたメッシは歩きながらその行方を伺っていた。しかし、相手の左SBが最終ライン深い位置まで戻っていき、ボランチとの間にスペースが空くのを見逃さなかったメッシは、小走りでそのスペースへ侵入。その瞬間にビルドアップしたコウチーニョからグラウンダーのクロスが渡り、シュートまで持ち込んだ。

 メッシの1試合における走行距離が少ないのはかなり有名な話だ。しかし、その歩いている時間でさえ、一番自分が受けやすい位置、味方がパスを出しやすい位置を確認し、ポジショニングしている。だからこそメッシは、ゴールへ迫る回数が多く、チャンスへと結びつけることができるのだ。

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