変貌遂げるチェルシー。驚異のパス数、美しいスタイル。それでも優勝はない? その理由は…【粕谷秀樹のプレミア一刀両断】

新指揮官にマウリツィオ・サッリを招いたチェルシーは、早くもその成果をピッチ上で表現している。緻密な戦略や戦術、それを司る愛弟子の存在、ファンを魅了するフットボールは名門復権を予感させるものだ。とはいえ、不安要素がないわけではない。(文:粕谷秀樹)

2018年10月04日(Thu)10時20分配信

シリーズ:粕谷秀樹のプレミア一刀両断
text by 粕谷秀樹 photo Getty Images
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新監督の緻密なマネジメントが効果を発揮

マウリツィオ・サッリ
今季就任したマウリツィオ・サッリ監督はわずかな時間でチェルシーを大変身させた【写真:Getty Images】

 チェルシーの本拠スタンフォード・ブリッジは近年にない……いやいや、ロマン・アブラモヴィッチ買収後初といって差し支えないほど、心地よいノイズに包まれている。

 スタジアムに笑顔があふれていた時期もあった。ジョゼ・モウリーニョ(現マンチェスター・ユナイテッド監督)、カルロ・アンチェロッティ(現ナポリ監督)、そしてアントニオ・コンテ前監督もいくつかのタイトルをもたらし、チェルシーサポーターにリスペクトされていた。

 しかし、彼らの基本形はカウンターである。セーフティーリードを奪った後はリスクを冒さず、自陣に籠城する戦法もいとわなかった。サポーターにすればストレスが溜まる。プロスポーツは結果を求められると同時に、周囲の期待にも応えなくてはならない。

 守備的なプランを全否定するつもりはなく、相手の攻撃的な特性を徹底的に潰す作戦も評価されてしかるべきだが、やはり大衆の支持を得られるのはアタッキング・フットボールだ。マンチェスター・シティやリバプールが各方面で支持され、攻める意思さえ感じられないユナイテッドの評価がダダ下がりである事実が、世間の印象を如実に物語っている。

 今季、チェルシーの監督に就任したマウリツィオ・サッリは、綿密な戦略・戦術に基づく理詰めな手法を用いる。対戦相手の分析に1日12~13時間を要するケースが多々あり、「別に苦にはならない」とも語るマニアックなタイプだ。

 ただ、選手へのアプローチは穏やかで、表向きに批判はしない。昨季は冷や飯を食わされたダビド・ルイスに対しても、「彼はあらゆる意味でリーダーだ。ベンチに置いておくなんてとんでもない」と発言し、そのプライドをくすぐっている。

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