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日本代表 5年前

U-19日本代表、揺るぎない自信の源泉。群を抜く経験値、予測不能なアジアに動揺なし

text by 舩木渉 photo by 2018 Asian Football Confederation (AFC), Getty Images

追いつかれても動揺なし。見事な立て直しで…

郷家 安部
神戸の郷家友太(左)や鹿島の安部裕葵(右)はすでにそれぞれのクラブで欠かせない戦力になっている【写真:Getty Images】

 ハーフタイムの様子を、安部は「追いつかれても、それで動揺した姿が全くなかった」と振り返った。「大会が始まる前から、アジアはそんなに簡単じゃないと何度も何度も自分たちに言い聞かせてきた」からこそ、後半にチームを立て直して3つのゴールに繋げることができた。

 菅原も「相手にはイエローカードが出ていましたし、うまいこと誘えばレッドカードも出ると思っていたので、そういうところでうまくハーフタイムを通して共有できた」と話していた。実際その通りに後半、北朝鮮の選手がラフプレーによるレッドカードで退場になって日本の勝利がぐっと近づいた。

 キャプテンマークを巻いていた伊藤は、失点に絡んだ仲間を励ました。「瀬古歩夢のPKを取られてしまったシーンで、あいつがすごく下を向いていたので、1つになって戦う意味も込めて、みんなであいつの顔を上げさせる声かけができた」といい、確かに後半の瀬古のプレーには幾分か自信が戻った印象があった。

 サッカーで「2点差は危ない」とよく言われるが、まさにそういった危機をチーム内のポジティブな働きかけで克服できた背景には、日頃から積み上げた自信があったと言っていいだろう。安部も「初戦から決勝まで全て厳しい戦いになると思っているので、そういうところで動揺したりすることがないようにと話しています」と語っている。

 2ヶ月前のアジア大会で、U-21日本代表の原輝綺がふと口にした「アジアが厳しい戦いになるのは分かっているし、ピッチに立っている選手にしかわからない難しさ、観ている人にはわかりづらいような厳しさがある」という言葉が強く印象に残っている。まさにその通りで、いつどこで何が起きるかわからないのがアジアだ。

 今大会もすでにユース年代で存在感を大きくしてきているベトナムが初戦でヨルダンに敗れ、中国もタジキスタンに屈するなど、番狂わせが起き始めている。日本にとっても対岸の火事ではなく、タイ、イラクと、指揮官曰く「悠長なことは言っていられない」相手との対戦が続く。

「2失点ということに対しての反省も試合後、そういう声だったり表情見られたので、勝った喜びも見られたし、本当にいい雰囲気で終われたと思います」と安部が語った通り、チームにはポジティブな空気と揺るぎない自信が漂っている。まずはU-20ワールドカップ出場権獲得に向け、22日のタイ戦に勝ってグループリーグ突破を決めて弾みをつけたいところだ。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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