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いわきFC、選手に求める「ぎらついた夢」。J1から6つ目のカテゴリーで起こる熾烈な生存競争【いわきFCの果てなき夢】

シリーズ:いわきFCの果てなき夢 text by 藤江直人 photo by Editorial Staff

いわきFCに加入する選手の『キャンバス』はほぼ真っ白

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吉田篤志【写真:編集部】

 今シーズンの陣容を見ても、Jリーグ経験者は3人しかいない。前出のGK永井は1995年7月生まれの23歳で、京都橘高校から2014シーズンに加入したJ2のロアッソ熊本、2017シーズンに移籍したサンガでの4年間で公式戦出場はゼロに終わっている。

 J2のツエーゲン金沢から昨年7月に期限付き移籍で加入し、1年間延長した23歳のDF榎本滉大もツエーゲンでの半年間は出場1試合だった。さかのぼれば仙台大学在学中の2015、2016シーズンにJFA・Jリーグ特別指定選手としてベガルタ仙台に登録されたが、公式戦には出場していない。

 最も経験を積んでいるのが、J3のAC長野パルセイロで2試合に出場した23歳のFW平岡将豪となる。2015シーズンには当時JFLのアスルクラロ沼津へ期限付き移籍し、11試合に出場して5ゴールをマーク。2016年6月に期限付き移籍でいわきFCへ加入し、翌年から完全移籍に切り替えた。3人ともキャンバスはほぼ真っ白なまま、いわきFCに加入したと言っていい。

 2人いる高卒ルーキーの一人、FW吉田篤志は昨年5月に行われたモンテディオ山形との練習試合がきっかけとなり、田村監督に潜在能力を見初められた。モンテディオの最前線でプレーしていたのが山形商業高校の3年生で、練習生として参加していた吉田だった。
「左利きでサイズがあって、技術もある子がいるなと思って見ていたら山形商業の練習生で、さらには『獲得する予定はない』と。すぐに平松へ『行け』と。そういう出会いは、すごく楽しみですよね」

 身長182cmで、なおかつ希少価値のレフティー。ダイヤモンドの原石を見つけたと思わずにはいられなかった田村監督は、すぐに平松大志スカウト(現スカウトディレクター兼トップチームコーチ)を山形商業高校へ派遣。いわきFCへの練習参加を打診している。

「4泊くらいでいわきに来て、練習参加を終えた後に『ウチに来てみないか』と言われて。将来的にはプロになりたいと思っていたし、サッカーだけでなく仕事の面でもいい経験ができるので、すごくいい環境だと感じたので決めました。ただ、仕事がきついですね。立ち仕事が多いし、けっこう足に来るというか。ただ、みんな仕事も頑張っているので、自分も頑張らないといけないと思っています」

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