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レアルにとって最悪のクラシコ。バルセロナにすべてを支配された、白い巨人の無残な姿

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

バルサ圧倒。レアルは良いとこなしの前半

 試合が動いたのは開始からわずか11分だった。イバン・ラキティッチがボールを持つと、左サイドのジョルディ・アルバが一気にギアを上げ、前線に飛び出る。それを見逃さなかった背番号4が浮き球のパスを当てると、J・アルバはそのままPA内へ侵入を開始。最後はマイナス方向でフリーとなっていたフィリッペ・コウチーニョに正確なパスを通し、同選手が冷静にゴールへ沈めた。

 早い時間で1点リードを奪ったバルセロナは、ここから完全に試合のペースを握った。自分たちでしっかりボールをキープし、ナチョ・フェルナンデスのいる相手の右サイドを重点的に狙い、何度もチャンスを作る。13分にコウチーニョ、19分にアルトゥールがシュートを放つなど、いつ追加点を奪ってもおかしくない状況であった。

 対するレアルは、バルセロナの素早いプレスに苦しめられ、なかなかゴール前までボールを運べない時間が長く続いた。前線のカリム・ベンゼマは孤立し、ガレス・ベイルやイスコといった選手にも効果的なボールが入らない。カウンターも早い段階で防がれるなど、すべてにおいて後手に回っていた。

 そして、解決策が見出せないまま、レアルは追加点を奪われてしまう。28分、左サイドのJ・アルバから低いクロスが入ると、これをルイス・スアレスがニアサイドで受ける。そこにプレスをかけにいったラファエル・ヴァランが同選手を倒してしまい、VARによってPKの判定が下された。これをスアレスが落ち着いてゴールに沈め、2-0。レアルは前半から2点のビハインドを背負う非常に苦しい展開へと流されてしまった。

 その後もバルセロナはレアルのゴールを脅かし続ける。追加点こそ奪うことはできなかったが、試合は完全にホームチームが優勢で、レアルに良い流れを持っていかせなかった。

 バルセロナの勝利は確定か。前半は、そんな気持ちが芽生えるほどの圧倒ぶりだった。しかし後半、レアルが別の顔を見せ始めたのである。

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