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レアルにとって最悪のクラシコ。バルセロナにすべてを支配された、白い巨人の無残な姿

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

別人のようなレアル、それでも…

 後半開始前、レアルはさっそく選手交代を行った。PK献上など低パフォーマンスに終始したヴァランを下げ、ルーカス・バスケスを投入。そして、フレン・ロペテギ監督は、想像もしなかったシステム変更を行ったのである。

 ボランチで先発していたカゼミロをCBの位置まで下げ、マルセロ、L・バスケスをウィングバックで起用。それまでの4-3-3から3-5-2というフォーメーションにチェンジし、バルセロナに立ち向かったのである。

 この変更を機に、レアルは別のチームへと変貌を遂げた。それまで脅威となっていたJ・アルバにはL・バスケスが張り付き、チャンスを与えない。逆に攻撃面ではサイドに人を集め、そこから崩しにかかる。バルセロナの守備陣はマークの確認が遅れ、簡単にサイドを突破させてしまうシーンが目立つようになってきた。

 そして50分、右サイドのL・バスケスからパスを受けたイスコがゴールラインぎりぎりの場所からクロスを上げる。これをPA内で待っていたマルセロが胸でコントロールし、最後は右足で押し込み1点を返した。

 何が起こっているのか正直理解できなかった。前半はまったくと言っていいほど存在感がなかったレアルのイレブン達が、まるで別人のような存在感を放つようになってきたのである。バルセロナはもはや、この勢いに逆らうことができなかった。

 56分にはルカ・モドリッチがポスト直撃のシュートを放つなど、いつ同点に追いついてもおかしくはなかった。ただ、2点目が遠かったのである。

 レアルのシステム変更は、攻撃面で猛威を振るったのは紛れもない事実だ。しかし、そこには大きなリスクもあった。3バックのため、カウンター時にバルセロナに中盤を突破されてしまうと、3対3、あるいは3対4などの数的不利な状況を強いられてしまうのである。そういった守り方には慣れていない白い巨人たちは、またもやペースを失い、再び後手に回ってしまった。ここから、バルセロナのゴールラッシュが幕を開けることになる。

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