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「海外経験もない、言葉も喋れない“ペーパーS級指導者”に警鐘を」。流経大柏・本田監督が語る育成改革論

日本でもっともプロ選手を育ててきた流経大柏高校サッカー部の本田裕一郎監督が、真の“ジャパンズ・ウェイ”につなげるための改善すべき問題をあげながら1つひとつ提言していく『サッカー育成改革論』(カンゼン)。前書きから抜粋し、12月12日(木)の発売に先立って公開する。(文:本田裕一郎)

text by 本田裕一郎 photo by Hiroyuki Sato

東京ドーム6個分。バイエルンの巨大育成施設

本田裕一郎
流経大柏の本田裕一郎監督【写真:佐藤博之】

 この激動の中、私は30年前から毎年、ブラジル・アルゼンチン・ウルグアイに通い、現在はドイツにも4年連続で通っておりますが、いつも世界との差を肌で感じて帰ってきます。

 世界を見て特に感じることは、各国のユース育成年代に対する力の入れようです。先ごろ訪れたドイツでは、ロシアワールドカップで一次リーグ敗退にもかかわらず、代表の検証もさることながら、話題はむしろユース年代育成の検証に力をかけていると感じました。

 バスティアン・シュバインシュタイガー、フィリップ・ラームを輩出したバイエルン・ミュンヘンのアカデミー(ユース、ジュニアユース、ジュニア)は、2017年に本体とは全く別に90億円をかけて、30ヘクタール(東京ドーム約6個強分)の敷地に、育成専用のバイエルン・キャンパスを作り、すでに稼働しており、見学もさせてもらいました。

 その巨大施設には、U-9からU-19までの男女ユースチームと8人制サッカーのコートが完備され、バイエルンU-17とU-19がリーグ戦で使用する2500人収容のスタジアムもありました。トレーニング用グランド6面、体育館、スタッフ用のオフィス、レストラン風の食堂、全てが完備された施設です。日本のどこのJリーグクラブも敵わない育成専用施設でした。

 さらにバスケットボール、ハンドボール用のコートも併設され、スタッフ用のオフィスや遠隔地から来ている選手用のアパートなどもありました。

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