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レアルにとって意味のないクラブW杯。実力差は明らか、改めて考える大会の存在意義

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

クラブW杯は必要?

 大会前の予想通り、マドリーの優勝で幕を閉じた今回のクラブW杯。

 ただ、毎年開催されているクラブW杯で毎年言われ続けているのが大会の存在意義だ。アジア王者やアフリカ王者といったクラブは世界の強豪クラブと勝負できる数少ない機会をこの大会で得られるため、彼らにとっては多少意味のあるものになっているかもしれない。

 しかし、欧州王者はどうだろうか。彼らはリーグ戦が行われている真っ只中で異国の地に飛び立ち、必ず2試合を終えて帰国するという少し無駄なスケジュールを組んでいる。マドリーの選手は「重要な大会だ」と口を揃えてコメントしているが、それがどこまで本心なのかは定かではない。さらに、今回のマドリーの場合は、クラブW杯より成績の怪しいリーグ戦の方が気になっているはずである。

 2年前のクラブW杯決勝のマドリーは明らかにやる気がなかった。それは昌子も「本気ではなかった」と認めている。

 今回の銀河系軍団にやる気がないという雰囲気は感じなかったが、アル・アイン相手に勝利し、満足感を得ている感じもしない。彼らにとって、クラブW杯とはどういうものなのだろうか。

 そもそも鹿島が出場していなければ、クラブW杯の日本での注目度はさらに落ちていただろう。「優勝するクラブがどこになるかわからない」といった状況なら、多少は見る人も増えるだろうが、ここ最近は「どうせ欧州王者が優勝だ」という先入観が勝り、誰も観戦しようとは思わない。それでその結果通りになってしまうのが、クラブW杯の弱いところだ。現在、欧州勢はこの大会を6連覇している。

 話を戻すが、マドリーにとっては無意味な大会だった。この優勝がリーグ戦で復調のカギになるのならばそれは大きな意味を持つものになるが、それは今の段階では判断できない。欧州とその他大陸王者との差が広がり続けている今、クラブW杯とは本当に必要なのだろうか。

 2021年にはレギュレーションの大幅変更が予定されているクラブW杯。そうなれば多少の注目度は伸びるだろうか。

 いずれにしても、「欧州王者の優勝で幕を閉じる」ということに変わりはないだろうが…。

(文:小澤祐作)

【了】

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