強行出場、疲れは見せず

　だが、中国戦の出場に関しては韓国内の世論はそれこそ真っ二つに分かれた。タイトなスケジュールを消化してきたソン・フンミンを使うべきかについての議論がネット上で盛り上がった。著名なサッカーコメンテーターたちもソン・フンミンの出場を反対。そもそもベスト16が決まっている時点でソン・フンミンをわざわざ使う必要があるのか、ということだった。もちろん「それでも出して中国には勝つべき」という意見もあった。ベント監督は試合前日の会見で「彼と直接話して決める」と明言していた。

　そして試合当日、ベントの選択は出場強行だった。16日行われた中国戦にソン・フンミンは先発出場。ファン・ウィジョやファン・ヒチャンなど慣れている顔触れと3トップの左を任された。

　このチョイスがそれこそ大当たりだった。早速ソン・フンミンの投入効果が出た。疲れが見えない俊敏な動きで相手の守備を翻弄。中国のDF陣が追いつくもスピードで簡単にかわして前進する場面はファンを唸らせる。前線も活性化され、スペースが空くようになりファン・ウィジョやファン・ヒチャンがさらにラインを上げて攻める。

　このようなシーンが続く中で韓国が先制。前半12分、ペナルティーエリア内でボールを持ったソン・フンミンが中国センターバック、シ・ケに倒される。ソン・フンミンが蹴ると思いきやファン・ウィジョが立つ。左の下にボールを突き刺さった。狭いスペースのなかでソン・フンミンのサッカーセンスが光った瞬間だった。