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未だ消息不明のサラ、恩師・ハリルに伝えた感謝の意。誰からも好かれ、愛された男の実像

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

サラが伝えたハリル監督への感謝

ヴァイッド・ハリルホジッチ
サラはカーディフに移籍する際、ハリルホジッチ監督に感謝の言葉を述べていたという【写真:Getty Images】

「これまでのキャリアでいまが一番絶好調です」と、サラは指揮官へ恩を感じていた。

 ハリル監督にとっても、サラは19位にいたチームを一時10位まで上げてくれた、頼れる戦力の一人だった。

 別れの挨拶に訪れた日も、ベンチに座って二人でゆっくり話しこんだという。その時サラは、恩師に何度も、「ありがとうございました」とお礼の言葉を述べたのだそうだ。

「彼は私を信頼してくれて、自分のことをいろいろと話してくれた。あんな選手はこれまでいなかった。私の人生にはいろいろと辛いこともあったが、スポーツ界での出来事で、これほど辛いことは他にない…こんなことが起きてしまうなんて…あまりに酷すぎる…」

 監督は選手たちを従えて、トレーニング場に駆けつけたサポーターたちの前で、「いまクラブは、かつてないほど団結力を必要としています。この苦しい時、どうか我々とともに戦ってください。応援に感謝します」とスピーチ、大きな拍手で讃えられた。

「辛いけれど、人生は続いていく…」

 はっきりと事件が解決するまで、望みは捨てないと指揮官は語り、哀悼の意の述べることや、サラに黙祷を捧げるようなことはしないと明言した。監督の言うとおりだ。まだなんの確証もない。

 いまはサラと、イボットソン氏のために、ただひたすら祈りたい。

(文:小川由紀子【フランス】)

【了】

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