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久保裕也の可能性は開かれたか? 「そこは応えられたかなあ」。新体制で得た手応え

text by 本田千尋 photo by Getty Images

ハードワークでもぎ取った勝ち点1

 試合が始まると、久保は、チームメイトたちと共に守備ブロックを構築しながら、例えば対面する敵の左SBアブドゥ・ディアロにボールが渡れば、積極的にプレスを掛けて行った。監督に求められたことに対して忠実に、ハードワークを惜しまない。

 ニュルンベルクがボールを奪い、久保に渡ったとしても、ドルトムントの選手たちを相手にキープすることは難しかったが、この試合で最も大切なことは「失点しない」ことだった。攻撃面で貢献するかしないかは、さほど重要ではなかった。

「もうとにかく、失点しないっていうことが大事でした。攻撃のことは『とにかく裏に行け』っていうのを言われていましたけど、そのパワーもあまりなかったですし。でも、とにかく失点しないのが一番大事だった」

 ドルトムントを相手に必死で守備をした久保。ラファエウ・ゲレイロ、ディアロに右サイドから決定的なチャンスを作らせることはなかった。前半の途中からポジションを左サイドに移したが、変わらずハードワークを続けた。

 後半に入ると、ニュルンベルクの監督、選手たちが「僕らがボールポゼッションをする時間はかなり短い」と予想したとおり、ドルトムントが圧倒的にボールを支配。ニュルンベルクを自陣に押し付ける。

 だが、主将のマルコ・ロイスを欠き、5日前にウェンブリーでトッテナム・ホットスパーを相手に0-3で大敗したドルトムントは、精彩を欠いた。前半戦の躍動が嘘のように、崩しのアイディアがまるで無い。

 GKクリスティアン・マテニアも好守を見せ、息の詰まるような4分間のアディショナルタイムを凌ぐと、ニュルンベルクは、ドルトムント戦を0-0のドローに終えた。監督交代直後の初戦で、相手が首位チームであることを考えれば、勝ちに等しい結果だった。

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