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代表 5年前

韓国代表に至宝が続々…それでも起用できない理想と現実。難航するキ・ソンヨンの後釜探し

text by キム・ドンヒョン photo by Getty Images

テストか、結果か。ベント監督の選択は…

パウロ・ベント
韓国代表のパウロ・ベント監督【写真:Getty Images】

 ソン・フンミンがGKとの1対1のチャンスを逃したのはある意味象徴的な場面だった。絶対的エースと2トップを組んだチ・ドンウォンは直前のリーグ戦で負った膝の怪我の影響か、鋭い動きは出ず。怪我から復帰したグォン・チャンフンが華麗なドリブルで相手を翻弄するも、チームとしてではなく、個々の力で勝負するイメージが強い前半だった。

 結局この無得点が交代カードにも響いた。ファンやメディアが期待していたイ・ガンインやペク・スンホのA代表デビューは見送られ、実績のある選手たちが選ばれた。テストはなしとなり、勝ちが大前提となってしまった。

 ただ勝利という最終的な目的から言うとこの選択は妥当だったと言える。Jリーグでプレーするファン・ウィジョやイタリアでプレーするイ・スンウが投入されてから韓国の前線が活性化した。そして70分にベテランMFイ・チョンヨンが入るとさらにギアアップ。ソン・フンミンの位置も調整され、最前線のファン・ウィジョが幾度となく放ったシュートは相手GKを脅かした。それでもゴールには至らない。

 ゴールを割ったのは、引き分けを覚悟していた86分だった。ホン・チョルが左サイドから上げたクロスにイ・チョンヨンが反応。豪快なヘッドでゴールを決めた。22本目のシュートで勝ち取った初のゴールだった。これが決勝ゴールとなり、韓国が勝利を収めた。

 試合後のベント監督は満足した様子。「戦術に少し変化を与えたが、選手たちがスタイルを貫いてくれた。ゴールは1本のみだが、たくさんの決定機を作ったことに満足している。パフォーマンスも安定的だった」と選手たちを讃えた。自ら図った若干のテストに手ごたえを感じたようだった。

 注目を集めたが、見送られたイ・ガンインの起用に関しては「今日はこれ以上の変化はいらないと思った。私が望んできた流れの中で、ちょうどいいほどの変化だけを試した」と答えた。

 変化を与えるほどの余裕があったボリビア戦は本領ではなく、あくまでもウォームアップだ。26日に行われるコロンビア戦には本腰を入れるべきだ。コロンビアは22日の試合でファルカオのPKゴールによって1-0と日本に競り勝っている。その相手に対してテストをするか、それとも結果か。ベント監督の選択に注目が集められる。

(文:キム・ドンヒョン【韓国】)

【了】

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