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全てを覆したメッシ、魅せた珠玉のプレー。バルサがマンUに見せつけたクオリティの違い

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

個の能力が際立ったバルサ

 2戦合計スコアを0-3とされ、逆転でのベスト4進出のために最低でも3点が必要となったユナイテッド。しかしメッシに2発を喰らったショックが大きかったのか、チームとして前半立ち上がりに見せた勢いが半減し、ボールを持ってもすぐに奪い返されるといった状況が続いた。

 前線のラッシュフォード、アントニー・マルシャルは試合から消え、ジェシー・リンガードも局面を打破するほどの存在とはなれない。攻守両面におけるキーマンとなるポグバもメンタル面の弱さを露呈していた印象だ。

 対してバルセロナはピッチに立つ11人全員がそれぞれの役割をしっかりこなし、ユナイテッド守備陣の脅威となり続けた。攻撃時にはメッシが強烈な“個”を放ち、それを生かすべくルイス・スアレスやフィリッペ・コウチーニョも果敢に動き回る。セルジ・ロベルト、ジョルディ・アルバもうまく顔を出しては攻撃に厚みを持たせた。

 イバン・ラキティッチは相変わらず攻守のバランスをうまく取り、アルトゥールはパスやドリブルでリズムを変える。セルヒオ・ブスケッツは深い位置からビルドアップの起点となり、守備時も危険なエリアを的確にカバーしていた。

 ユナイテッドの選手が覇気を失っている間にも、バルセロナのイレブンは試合の中で連係を深めていった。攻撃はスムーズに行えており、守備も安定感は抜群。チームとしての完成度はもちろんのこと、この試合では「個の能力」でも明らかな違いが生まれていたと言えるだろう。全体的なクオリティは非常に高かった。

 後半もそうした展開は変わらず、61分にはフィリッペ・コウチーニョが得意のゾーンから美しいミドルシュートを沈め、リードを3点に広げたバルセロナ。この時点で準決勝進出はほぼ手中に収めていたが、最後まで集中力を欠かないのが同チームの強さだ。

 90分間しっかりと戦い続け、クリーンシートで試合を終えることに成功。2014/15シーズン以来となるCLベスト4進出をきっちりと果たした。

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