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マンCを苦しめたレスターの守備戦術がすごい! ピッチで何が起こっていたのか。その戦略とは?

text by 内藤秀明 photo by Getty Images

マディソン変則守備の仕組み

 レスターは基本的にヴァンサン・コンパニにボールを持たせるように守備をしていた。

 具体的には、まずマディソンはウォーカーにマンマーク気味でつくことでイングランド代表DFにボールが渡らないようにした。そしてもしウォーカーにパスが出ても激しく寄せることでコンパニにパスを戻させるようにプレーしていた。

 そしてコンパニがボールを持ってもマディソンはほぼ追わない。むしろコンパニからB・シウバや、フィル・フォーデンへのパスコースを消すように守った。ワントップのジェイミー・ヴァーディーもプレスにはいかず、縦パスを通さぬように中盤へのパスコースを消す守備を優先する。

 何故レスターがこのような守備をしていたかというと、この元ベルギー代表DFは一般的な基準では足元が上手いほうではあるが、シティ基準では下手な部類に入る。落ち着いてボールを持つが、針の穴に糸を通すような縦パスをインサイドハーフに出すことはそう多くない。そういう意味ではレスターからすると一番ボールを持っていても怖くない相手なのだ。

 緻密な縦パスは無理でもコンパニがフリーのB・シウバにパスを通すことは何度かあった。ただその場合、地上のパスコースは消されているため山なりになることが多く、マディソンのプレスバックが間に合う。

 結果いい形でボールが来ないためB・シウバが低い位置まで下りてくると、コンパニやウォーカーからパスは出るが、距離感が近いためこれもマディソンのプレスバックが追いつく。結局B・シウバは浮いているはずなのだがフリーになれない。

 時折ウォーカーがマディソンを引き付けた状態で、アイメリク・ラポルテがB・シウバに向けてロングレンジのサイドチェンジを通すこともあった。ただこれも難易度の高いプレーで1試合に何度も起きるプレーではない。

 結果、B・シウバがフリーになっているシーンは多いものの、コンパニがボールを持つだけで、上手く生かすことができない時間が長かった。

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