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アーセナル、屈辱的大敗の理由。チェルシーにやられ放題となった45分間、沈黙した強力な武器

text by 小澤祐作 photo by Getty Images

アーセナルの武器、2トップの沈黙

 アーセナルはこの試合でわずか1得点しか奪うことができなかった。もっと言えばその1点というのは途中出場のイウォビが奪ったものであり、スタートからピッチに立っていた攻撃陣は明らかに停滞していたと言えるだろう。

 同クラブ最大の武器はやはりアレクサンドル・ラカゼットとピエール=エメリク・オーバメヤンの強力2トップだ。彼らのスピード、決定力、コンビネーションの高さはワールドクラスのものがあり、それらは今季のプレミアリーグ、ELでも余すことなく発揮されてきた。

 しかし、チェルシー戦では肝心の2人が影を潜めた。お互いにタッチ数は少なく、シュートも苦し紛れのものが多かった印象だ。データサイト『Who Scored』内ではラカゼットに「6.3」、オーバメヤンには両チーム合わせて最低となる「5.6」といったレーティングが与えられている。

 2人が輝けなかった理由としては、やはりチェルシーの守備意識にあると見ている。アーセナルの2トップに対し、サイドバックのセサル・アスピリクエタ、エメルソンの2人もやや中央寄りにポジショニングすることで、ダビド・ルイス、アンドレアス・クリステンセンと合わせて1人に対し2人でマークに付くようなディフェンスを披露したのだ。

 前半にセアド・コラシナツやエインズリー・メイトランド=ナイルズが空きがちになったのも、チェルシーのサイドバックの選手がリスクを冒してでもオーバメヤン、ラカゼットへのマークを優先したからではないだろうか。もちろんその時にはインサイドハーフやボランチのカバーリングも必要となってくるが、そのあたりの連動性もチェルシーは90分間継続して行えていたと言えるだろう。

 たとえば20分のシーンでは、メイトランド=ナイルズに左サイドの突破を許し、グラウンダーのクロスを上げられたが、そこに身体を張って滑り込んで行ったのはボランチのジョルジーニョであった。こうした細かい部分からも、チェルシーの意識の高さは見て取れた。

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