アルゼンチン、完勝の理由。90分間で見られた狙い、宿敵・ブラジル戦へ向けての収穫とは【コパ・アメリカ】

コパ・アメリカ2019(南米選手権)・準々決勝、アルゼンチン代表対ベネズエラ代表が現地時間28日に行われた。悲願の優勝を目指すアルゼンチンは、試合開始からテンション高く挑み、ベネズエラを攻略。2-0の完封勝利を収めた。その勝因はどこにあるのだろうか。そして、ブラジル戦へ向けての大きな収穫とは。(文:小澤祐作)

2019年06月29日(Sat)11時35分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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完封勝利でベスト4進出

アルゼンチン代表
アルゼンチン代表はベネズエラ代表と対戦し2-0の完封勝利を収めている【写真:Getty Images】

 90分間通して、アルゼンチン代表は強さを見せつけたと言ってもいいだろう。コパ・アメリカ2019(南米選手権)・準々決勝のベネズエラ戦に挑んだ同国は、攻守両面で相手を上回り2-0の完封勝利を収め、3大会連続のベスト4進出を果たしたのである。

 試合開始早々にセルヒオ・アグエロが際どいシュートを放つなど、この日のアルゼンチンは2-0の勝利を収めたグループリーグ最終節・カタール代表戦からの勢いをしっかり継続しているようにも思えた。鋭いプレスでベネズエラに余裕を与えず、まず守備で優位に立つ。リオネル・メッシを中心とした攻撃陣も2人目の動き出しなどが大会を通して良くなってきていた印象だ。

 そして開始わずか10分、アルゼンチンはコーナーキックの流れからラウタロ・マルティネスが先制ゴールを奪取。ここまで3試合でわずか1失点と強固な守備を誇っていたベネズエラのゴールをさっそくこじ開けたのである。

 その後もアルゼンチンは試合のペースを握り、時間を進める。サロモン・ロンドンを起点としたベネズエラの攻撃にも慌てることなく対応し、決定機を作らせない。前半は相手にわずか2本のシュートしか許さないなど、ほぼ満足いく内容で45分間を終わらせた。

 後半に入っても、アルゼンチンは集中力を切らさない。48分には縦パスに抜け出したL・マルティネスがフリーでビッグチャンスを迎えるなど、後半も非常に良い入りができていた。メッシ、アグエロらも相変わらず高い技術を発揮して相手にゴールに迫るなど、ベスト4進出への気持ちは十分表れていた。

 そして、勝負が決まったのは74分だ。相手陣内でボールを奪ったロドリゴ・デ・パウルがアグエロへパス。背番号9は迷わず右足を振り抜くと、GKウィルケル・ファリニェスがボールをこぼし、そこに途中出場のジオバニ・ロ・チェルソが反応。冷静に押し込んで2-0とした。

 失点を許すことなく試合を終えたアルゼンチンは、これでコパ・アメリカ直近6大会中5回目のベスト4進出を果たすことになった。グループリーグでは苦戦を余儀なくされたが、結果ここまで辿り着いたのはさすがといったところだろうか。

守備の改善が目に見えたベネズエラ戦

 アルゼンチンはこの日、支配率こそ下回ったものの、シュート17本を放ちながら被シュート数は6本に抑えるなど攻守両面でベネズエラを上回った。さらにデュエル勝利数はベネズエラの67回に対しアルゼンチンは75回。タックル成功率も73%と悪くない成績を残している。

 さらに『Opta』によると、アルゼンチンはコパ・アメリカにおけるベネズエラ戦では1試合平均5ゴールを挙げている(6試合30ゴール)など相性の良さを生かした。そしてアルゼンチンはコパ・アメリカで先制ゴールを挙げた試合ではこのベネズエラ戦含め10試合連続勝利中とそのあたりの強さも発揮していた。

 さて、悲願の優勝へ大きな一歩を踏み出したアルゼンチンだが、この日の勝因は「守備」にあると見ていいだろう。コロンビア戦、パラグアイ戦ではいずれも先制ゴールを許すなどディフェンスラインのドタバタ感は否めなかったが、カタール戦、そしてこのベネズエラ戦と2試合連続でクリーンシートを達成したあたりを見ても、この点は明らかに改善されている。ベネズエラやカタールがコロンビアほどの攻撃力がないとはいえ、これは大きな収穫だと言えるはずだ。

 ベネズエラ戦でもまず守備から優位に立とうという狙いは明らかだった。リオネル・スカローニ監督は中盤にロ・チェルソではなくマルコス・アクーニャを起用し、レアンドロ・パレデスの脇のスペースを埋める役割を与えていた。さらに途中出場のアンヘル・ディ・マリアもピッチに立った瞬間、相手の最終ラインに猛烈なプレスを与えるなど、こちらもまず「守備」を優先にし、試合に入っていた。結果、ディ・マリアのプレスが功を奏し、追加点が生まれている。

 もちろん前線の選手がプレスを与えるだけでは足りない。最終ラインの選手との連動性も重要となってくるが、この日のアルゼンチンはそうしたあたりもうまく行っていたと言えるだろう。ニコラス・オタメンディとヘルマン・ペッセッジャの2CBは距離感をコンパクトに保ち、スペースを与えず。前の選手がプレスをかければしっかりとラインを押し上げ高い位置でボールをうまく回収していた。

 後半に疲労の影響もあってプレスの強度が弱まるシーンもあったが、その際にはしっかりとした守備ブロックを築く。縦パスを入れられても前を向かせない対応でベネズエラに突破を許さなかった。支配率で上回られながらも大崩れしなかったのは、そうした点に理由があるだろう。

ついに見つかった最適解

アルゼンチン代表
ラウタロ・マルティネスとセルヒオ・アグエロの2トップは抜群の破壊力を持っている【写真:Getty Images】

 このように守備の改善が際立ったベネズエラ戦だったが、ベスト4へ向けもう一つ大きな収穫があった。それが攻撃陣の最適解。ラウタロ・マルティネスとセルヒオ・アグエロの2トップコンビの破壊力である。

 グループリーグ初戦ではアグエロが1トップ、パラグアイ戦ではL・マルティネスとメッシの2トップを試すなど、スカローニ監督は最前線の組み合わせに頭を悩ませていたが、カタール戦でアグエロとL・マルティネスを同時起用し、それが見事にフィット。2人がグループリーグ突破の立役者となったことで、ようやく“形”を見出すことができたのだ。

 そしてベネズエラ戦でも2人を同時起用。試合開始早々にその2トップが絡んだ崩しからフィニッシュまで持っていくなど、この日もさっそく怖さを発揮していた。

 コロンビア戦やカタール戦ではトップにボールが収まった後のサポートがかなり不十分だったが、L・マルティネスとアグエロの2トップであれば不思議とそうした点の脆さは改善された。L・マルティネスが裏へ抜け出せばアグエロはボックス内でポジショニングし、最後の決定的な仕事をこなす。反対にアグエロがボールを持てばL・マルティネスが背後のスペースへ走り込んで相手を引き付けるなど、お互いが異なる特徴を発揮することで相手にとってはそれがかなりの脅威となる。そこにメッシが絡んでくれば、その破壊力は格段に増す。

 ベネズエラ戦ではメッシ、アグエロ、L・マルティネスともに3本のシュートを記録。前線の選手がこれだけ揃って結果を残せるとなれば、やはりアルゼンチンは強い。ベスト4へ挑む前にこうしたポジティブな内容が残せたのは、悲願の優勝を狙う同国にとっては大きかっただろう。

 準決勝の相手は宿敵・ブラジル代表。通算対戦成績はアルゼンチンの37勝25分38敗とほぼ互角だ。ただ、直近の親善試合やワールドカップ予選ではブラジルにあまり勝つことができておらず、過去5試合で白星を挙げたのはわずか1回である。さらに相手は開催国ということで、完全アウェイの中で試合をしなければならない。アルゼンチンにとって、優勝へ向けての最大の正念場と言えるだろう。

 果たしてアルゼンチンは決勝へ駒を進めることができるのだろうか。

(文:小澤祐作)

【了】

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