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アーセナル、ギリギリ不合格も…「脱ベンゲル」で若手成長。勝負の2季目へ最大の課題は?【18/19シーズン総括(4)】

シリーズ:18/19シーズン総括 text by プレミアパブ編集部 photo by Getty Images

チームの変化を象徴したレノとトレイラの活躍

アーセナル
GKベルント・レノ(左)とMFルーカス・トレイラ(右)【写真:Getty Images】

 まずはGKだろうか。エメリ監督はGKに対してビルドアップに参加することを強く要求した。セービング能力に定評があるものの、足元の技術に不安が残るペトル・チェフがベンチに座ることになるのは時間の問題だった。

 結果、最終的にチェフが負傷退場したプレミアリーグ第7節ワトフォード戦以降、守備範囲の広さと足元の技術で勝る新加入のベルント・レノがレギュラーを奪取した。

 ドイツ人GKは当初セービング面ではチェフに劣るという意見もあったが、徐々にプレミアリーグに適応していき、最終的にはビッグセーブを連発するようになる。昨季のアーセナルの最大の補強は今思い返せばレノなのかもしれない。これほどスムーズに守護神の世代交代に成功する例も珍しい。

 そして前線に関して、スペイン人の戦術家は相手ボール時のプレスに「速さ」を強く求めた。そのため長らくチームの王様としてトップ下に君臨していたメスト・エジルの序列が絶対的な一番手ではなくなってしまう。

 華麗なドイツ人MFはチーム内の他の選手に比べて走行距離が極端に短いわけではない。ただオーバメヤンの全速力のプレスと、エジルの全速力のプレスでは、強度が全く違うことも確かだ。シーズンの後半戦はある程度出番をもらっていたが、エメリにとっては特別な選手ではないことはその起用法から明らかだった。

 チェフ、エジルという、ベンゲル時代には欠かせない存在だった二人を、中心メンバーから外した点はエメリが行った最も大きな改革の一つだったと言える。

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