「トップ下・香川真司」はサラゴサの中心に。傑出した質の高さ、無得点でも存在感

スペイン2部のレアル・サラゴサに所属する香川真司は、現地30日に行われたエルチェ戦に先発出場した。トップ下で71分までプレーしたものの、2試合連続ゴールとはならず。それでも随所に存在感を発揮してクオリティの高さをしっかりと示した。(文:舩木渉)

2019年08月31日(Sat)13時19分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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サラゴサはなかなか決めきれず…

香川真司
レアル・サラゴサの香川真司はエルチェ戦に先発出場【写真:Getty Images】

 ブンデスリーガやプレミアリーグで優勝経験を持つような選手でも、毎試合ゴールを決められるほどスペイン2部は甘いリーグではない。だが、シーズン開幕から無敗を維持するレアル・サラゴサにおいて、香川真司は存在そのものがチームを構成する上での重要な鍵となりつつある。

 現地30日に行われたラ・リーガ2部の第3節、サラゴサの香川はエルチェ戦に先発出場した。ポジションは前節と同じく4-3-1-2のトップ下。ただ、ボールに関与する回数は初ゴールを決めた前節ポンフェラディーナ戦に比べて少なく見えた。

 それでも香川が絡めばボールは前に進む。4人の最終ラインと3人のセントラルMFで組み立てながら相手の陣形を動かし、トップ下の位置から少しサイドに流れつつ下がって斜めのパスを引き出す香川の動きは巧みだった。

 背番号23の日本人MFの横には、常に相手のアンカーであるオメヌケ・ムフルがくっついていたが、幅広い動きでそのマークを剥がせた時にサラゴサの攻撃は前進していった。また、トップ下に香川がいることによって相手選手たちの視線を集めることもできるため、あえてそこを経由せず、インサイドハーフの選手が脇のスペースを使って飛び出すような動きも見られた。

 それでもエルチェ戦はゴールが決まらない。前半からより多くの決定機を作ったのはサラゴサだったが、前線のラファエルやルイス・スアレスがことごとくチャンスをフイにし、香川がコーナーキックから演出したチャンスもゴールには結びつかなかった。

 後半も試合を支配したのはサラゴサだったが、ゴール前での精度を欠く。試合を通してのボール支配率はエルチェの40%に対しサラゴサが60%。後半だけで見ればサラゴサは67%もの割合でボールを握っていた。シュートもエルチェの3本に対し、サラゴサは19本も打ったが、最終的には終盤のPKでの1点が決勝ゴールとなった。

香川は71分で交代。プレー内容は?

香川真司
香川真司は人気・実力ともにレアル・サラゴサですでにトップの選手だ【写真:Getty Images】

 そんな中、香川は前節と同じ71分に最初の交代カードでベンチに下がった。得点に絡めず、自分が下がってからゴールが生まれたことで不完全燃焼なのは間違いないだろう。勝利のためにゴールが必要な状況で交代を指示されたことも、評価の分かれるところだ。

 とはいえプレー内容は決して悲観するようなものではなかった。確かにボールタッチは同じ出場時間だった前節の「45」に比べて「38」と減っているが、パス成功数24本は同じで、パス成功率は「77%」から「82%」に上がっている。プレーへの関与が少なく見えたのはボールを持つ時間が長くなるドリブルを避け、毎回極力少ないタッチでボールを受けては捌くのを繰り返していたからではないだろうか。

 シュートは1本も放てなかったが、シンプルなプレーが増えたからかボールロストは前節の「14」から「8」に減った。マークを気にしながらのプレーとなり、サイドに流れてボールを受けることも増えたが、そういう難しい状況でも少ないタッチで攻撃のリズムを生み出すクオリティの高さは傑出していた。

 スペイン2部において香川は紛れもなく「スター選手」だ。前節の初ゴールだけで、リーグ公式が1本の特集動画を作って公開するほどの注目度がある。そういった扱いを受けるだけの経験や実績を積み上げてきたのは事実で、ピッチ上での質の高さも彼自身のプレーで証明している。

 おそらくサラゴサでも「トップ下・香川」ありきの4-3-1-2システムは継続されるだろうし、簡単にポジションを奪われることもないだろう。攻撃時はボールを持っていなくても対戦相手から警戒される存在であり、守備面ではすでに2トップの間からスプリントして相手最終ラインのボールホルダーにプレッシャーをかけるような連係・連動も少しずつ見られるようになってきている。

 今回、香川は9月上旬の活動に向けた日本代表メンバーから漏れている。幸か不幸か日本や東南アジアへの長距離移動がなく、国際Aマッチウィークの中断期間がないスペイン2部において試合に出続けることが可能だ。サラゴサにとってもチーム力に大きく影響する選手の不在は避けられた。

 開幕から3試合、サラゴサは薄氷のゲームを続けながら2勝1分と無敗を守っている。なかなかボールを支配できずに攻め込まれる時間帯も多い中、なんとか踏ん張って勝ち点を拾っているような状態だ。今後も1部昇格を目標に戦うのなら、星を落とすことはできない。すでにチームの中心にいる香川は、より一層プレーで責任や自覚を示していかなければならないだろう。

(文:舩木渉)

【了】

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