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ワイナルドゥム、そのプレースタイルと能力値、ポジションは? リバプールに欠かせないユーティリティMF【注目選手分析(15)】

リオネル・メッシやクリスティアーノ・ロナウドを始め、世界各国には際立った存在感を放つ名手が数多く存在している。そんなワールドクラスのプレイヤーは、一体どのようなスキルを持ち、どのような特徴を発揮しているのか。そのプレースタイルを解説する。第15回はオランダ代表MFのジョルジニオ・ワイナルドゥム。(文:編集部)

シリーズ:注目選手分析 text by 編集部

16歳でトップチームデビュー

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リバプールでプレーするジョルジニオ・ワイナルドゥム【写真:Getty Images】

 ジョルジニオ・ワイナルドゥムは1990年11月11日、オランダ第2の人口を誇る港湾都市、ロッテルダムに生まれた。6歳のときに両親が離婚し、幼少期のワイナルドゥムは祖母のもとで育てられた。

 地元のスパルタ・ロッテルダムで7シーズンプレーしたワイナルドゥムは、フェイエノールトの下部組織に加入。16歳のとき、クーマン兄弟の兄・エルウィン・クーマンが指揮を執るトップチームに招集された。

 ワイナルドゥムがデビューを果たしたのは、2007年4月8日。エールディビジ第31節・フローニンヘン戦に先発フル出場し、プロキャリアが幕を開けた。実質的なトップチーム昇格2年目の08/09シーズンには、リーグ戦33試合に出場してレギュラーに定着した。

 16歳でプロデビューを果たしたワイナルドゥムは、3シーズンに渡ってフェイエノールトの主力として活躍し、弱冠20歳にして2011年夏にPSVへとステップアップを果たした。

 PSV移籍直前の親善試合でオランダ代表に初招集を受けると、11年9月に行われたEURO予選サンマリノ戦で代表デビュー。9-0と大量リードの86分に投入され、90分に初ゴールをマーク。11-0の歴史的大勝に、自身の初出場初ゴールを重ねた。

 PSVでは3季目となった13/14シーズンにキャプテンに就任。4シーズンで公式戦56得点、24アシストをマークするなど、チームの攻撃の中心として活躍した。15/16シーズンにニューカッスルに活躍の場を移し、11得点5アシストをマーク。翌シーズンにユルゲン・クロップが指揮を執るリバプールへの移籍を果たした。

そのプレースタイルは?

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ジョルジニオ・ワイナルドゥムの能力値や適性ポジションなど【写真:Getty Images】

 フェイエノールトやPSVでのプレースタイルは司令塔だった。若くしてオランダを代表するMFへと成長し、プレミアリーグで揉まれた結果、ワイナルドゥムは中盤のつなぎ役としての地位を確立した。

 フェイエノールトで定位置を確保した08/09シーズン以降、怪我に苦しんだ13/14シーズンを除いて、すべてのシーズンでリーグ戦30試合以上に出場。移籍初年度でも早々に定位置を掴み取るだけの、高い戦術理解度がワイナルドゥムには備わっている。

 南米のスリナム共和国をルーツに持つ175cmの身体で、ピッチの隅々まで走り回る。狭いスペースでのパスワークに優れ、ボール奪取能力にも秀でたものを持ち、攻守に渡って、消えることなくかかわることができる。

 リバプールでの役割を端的に表すと、「リンクマン」という表現が適切ではないだろうか。高い位置で積極的に攻撃に参加する両サイドバックの空けたポジションを埋め、両センターバックの前で門番として立ちはだかるファビーニョ、ボックス・トゥ・ボックスでダイナミックに躍動するジョーダン・ヘンダーソンの隣で汗をかいて仕事をする。一見地味な役回りを担っているのがワイナルドゥムだ。

 しかし、複数のポジションでプレーできるのが、ワイナルドゥムの強みでもある。思い返すと、劇的な決勝進出を決めた18/19シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)準決勝1stレグでは、負傷のロベルト・フィルミーノに代わってセンターフォワードのポジションでプレー。2ndレグでは後半開始からインサイドハーフで出場すると、2得点をあげて「アンフィールドの奇跡」の立役者となった。

 今シーズンは中盤の選手で唯一、公式戦6試合すべての先発メンバーに名を連ねている。他のポジションに比べると層に厚みがあり、ヘンダーソンやファビーニョには休養が与えられているにも関わらず、だ。ユルゲン・クロップの指向するサッカーでは不可欠な存在といえるだろう。

(文:編集部)

【了】

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