覚えておいて損はない!? 20歳の新鋭・オシメーンとは何者か。まさに今季の「推しメン」。その武器は?

昨季、リーグアンで2位に入るなど躍進を果たしたリール。その立役者となったFW二コラ・ペペはアーセナルに去ったが、同クラブにまた新しい逸材が現れた。20歳のFWヴィクター・オシメーンである。ナイジェリア人のストライカーは一体何者なのか。その特徴などを紹介する。(文:小川由紀子)

2019年09月28日(Sat)10時49分配信

シリーズ:○○とは何者か?
text by 小川由紀子 photo Getty Images
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ペペの後継者・オシメーンは何者?

ヴィクター・オシメーン
リールに所属する20歳のFWヴィクター・オシメーン【写真:Getty Images】

 いまものすごく気になっている選手がいる。

 リールに所属する、ナイジェリア人ストライカー、ヴィクター・オシメーンだ。『推しメン』と、あてたくなる名前であるが、実際、今季のリールの推しストライカーである。

 昨シーズン22得点をあげた得点頭ニコラ・ペペを8000万ユーロ(約94億8000万円)でアーセナルに手放した代わりに、リールはこの20歳の新鋭をベルギーのシャルルロワから獲得した。

 彼の名前が一躍知れたのは、2015年のU-17ワールドカップ。ナイジェリア代表として出場したこの大会で、彼はなんと10ゴールをマークして、大会得点王に輝くとともに、ナイジェリアの優勝に大きく貢献した。

 さっそくヨーロッパのビッグクラブが争奪戦を展開したが、18歳の誕生日を迎えて間もない2017年1月、ナイジェリアから世界に羽ばたくことを決めたオシメーンが選んだのは、ブンデスリーガのヴォルフスブルクだった。一番プッシュしていたのはアーセナルだったが、「アーセナルに行ったらすぐにファーストチームでは出られないから」という賢明な判断で、ドイツ行きを選んだのだという。

 シーズン途中から加入したヴォルフスブルクでは、とくに終盤は怪我もあって出場時間は限られ、初ゴールもおあずけとなったが、翌シーズン、ベルギーリーグのシャルルロワにレンタルに出されると、ここでレギュラーに定着。全コペティション合わせて36試合に出場し、20得点という立派な数字をあげた。そしてそんな彼の活躍ぶりを徹底的にモニタリングしていたのが、リールの辣腕スポーツ・ダイレクター、ルイス・カンポス氏。

 リールはオシメーンを今夏のナンバー1ターゲットに挙げ、晴れて推定1200万ユーロ(約14億円)で獲得に成功。さっそく先発出場した開幕戦のナント戦で2得点をあげると、デビュー戦にしてマン・オブ・ザ・マッチに選出された。

新鋭20歳の武器は?

 その栄えあるリールでの公式戦初ゴールは、ディフェンスラインから蹴り込まれた長いパスを胸トラップで足元に落とし、そこから猛烈なスピードでゴール前まで詰めて、角度のあるところからGKとの一対一を制するという、これまた挨拶代わりにしてはド派手な一発だった。

 疲労も考慮して、第3節のサンテティエンヌ戦では、クリストフ・ガルティエ監督は元フランス代表のロイク・レミを先発に起用したが、レミが19分に負傷で退場を余儀なくされると、迷わずオシメーンを投入。すると15分もたたないうちに先制点をゲット、さらに後半にも追加点をあげて3-0勝利に貢献してみせた。

 これまで6試合で5ゴールをあげて、キリアン・ムバッペとエディンソン・カバーニが不在の合間に、得点ランキング首位に立っている。

 彼のパフォーマンスで目を見張るのは、ストライドの大きさだ。ウェストの下がすぐ股か? というくらいコンパスが長く、一歩の幅が広いから、並走しているディフェンダーはあっという間に置いていかれてしまう。

 かといってスピード系のプレーだけではなく、オーソドックスなサイドからのクロスに合わせたシュートや、ゴールに背を向けてボールを受けてからの振り向きざまシュート、5節のアンジェ戦のような、ジョナタン・バンバのシュートの跳ね返りを押し込んだシュートなど、反射神経の良さやポジショニング感覚にも優れている。

欧州の舞台で脚光を浴びる日も近い

リール
「彼は20歳で、まだまだ相当伸びしろがある」。リールを率いるガルティエ監督(写真左)もオシメーンを称賛【写真:Getty Images】

「彼は20歳で、まだまだ相当伸びしろがある。フィジカル的にもこの先かなり向上するだろう」と期待をこめるガルティエ監督が、「ゴール前での決定力だけでなく、ゲームの中で決め手となるプレーができる」と絶賛しているように、ゲームメイクの動きにも光るものがある。

 相手からボールを奪ったとたんに全体でグワーっと押し上げ、アタッキングサード内に入ったら素早いパス交換から複数のアタッカーがシュートチャンスを狙う、というエキサイティングな攻撃がリールの常套手段だが、バラエティ豊富な攻撃手が揃い、攻撃オプションも多彩なリールに、オシメーンはぴったりなストライカー、という感じだ。

 ペペが去ったことを嘆いていたサポーターもすっかりこの新入りに魅了されていて、早くも『ペペの後継者』と言われている。オシメーン本人は、「このクラブで偉大な功績を残した選手と比較されるのはとても光栄」としながらも、「でも僕は、ここで自分の名を上げるために来た。プレイヤーとしてのタイプも違う。自分は自分のプレーで認められたい」と、まだ英語での会見ながら、しっかりと自信を秘めている様子を見せた。

「素晴らしい人たちに囲まれている。このような環境で成長できるのは自分にとって理想的」と、なかなか堅実だ。

 チャンピオンズリーグでは、リールは初戦のアヤックス戦に0-3で敗れたが、ヨーロッパの舞台でオシメーンが脚光をあびる日も近いかもしれない。なんといっても見ていて清々しいのは、彼の全身からプレーする喜びが溢れ出ているところ。エネルギーが体中からはじけている感じだ。

 大口を開けて舌をべろーんと出すゴールセレブレーションにも、今シーズンまだ何度となく、お目にかかれそうだ。

(文:小川由紀子)

【了】

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