本田圭佑、もしマンU加入でも活躍できない!? ベストな選択肢かは悩ましいが…全く論外とは言えない理由

今季、ロメル・ルカクなど主力級の選手が退団した上に、けが人も続出したことでマンチェスター・ユナイテッドは得点力不足に悩まされている。そんな状態に目を付けたのが元日本代表MF本田圭佑だ。ベテランの司令塔は「オファーをください。お金はいりません。ただ素晴らしいチームで素晴らしい選手たちと共にプレーしたいだけなんです」と、ユナイテッドの公式アカウント向けにTwitterでコメント。物議をかもしている。この移籍が起こったとして、元日本代表MFはチームにメリットをもたらすことはできるのだろうか。(文:内藤秀明)

2019年10月21日(Mon)10時00分配信

text by 内藤秀明 photo Getty Images
Tags: , , ,

現在、絶不調のユナイテッド

本田圭佑
本田圭佑【写真:Getty Images】

「攻撃陣に関しては、猫の手でも借りたい」

 というのがマンチェスター・ユナイテッドの実情だろう。ここまでリーグ8節を消化しているが、得点はわずか9点。開幕戦でチェルシー相手に4得点決めた火力は嘘のように、ひそめている。その開幕戦を除いてしまえば7試合で5得点。1試合で1得点すら決められていない事実は、ユナイテッドとして受け入れがたいものだ。

 昨季、守備的な戦術をとることでめっぽう不人気だったジョゼ・モウリーニョ時代のユナイテッドですら、8節で13得点決めている。結果、ハリー・マグワイアやアーロン・ワンビサカなど、最終ラインにトップクラスのタレントが加入し、失点数はリーグ3位の少なさで守備は安定したものの、今季の勝ち点はわずか9で、順位は12位。これは89/90シーズン以来の悪成績だ。なお30年前のシーズンは13位でフィニッシュしている。

 さすがに30年前同様の順位でフィニッシュすることはないとは思うものの、攻撃面の迫力のなさは異常事態であり、1試合でも早く改善を図らなければならいのも事実だ。その緊急度合いは1月まで待てるレベルでもなく、そういう意味では、現在フリーのタレントを補強することで急場をしのぐという選択肢はあってもおかしくない。

ラーションの事例

 実際、フリー選手の獲得ではないものの、ユナイテッドは過去に短期ローンで急場をしのいだ過去もある。シチュエーションは微妙に違うが、2006年に12月に決まった元スウェーデン代表FWヘンリク・ラーションの獲得は今回の事例を考える上で参考になる。

 当時もユナイテッドも負傷者が相次いでおり、3連覇を目指すモウリーニョのチェルシーに対して後塵を拝していた。そこで起爆剤となる選手を獲得するべく、バルセロナを退団しスウェーデンリーグで引退しようとしていた当時35歳のラーションに、アレックス・ファーガソン監督は目を付けた。スウェーデンリーグはリーグ戦が4月から10月までと短い期間で行っていることもあり、1月から3月までの3か月間のみという超短期のレンタル移籍でスウェーデン代表のレジェンドを獲得したのだ。

 この移籍は当たった。ラーションは瞬くまにチームにフィットし、練習場ではベテランとしてプロフェッショナルの立ち振る舞いを見せつけ、当時若手だったクリスティアーノ・ロナウドやウェイン・ルーニーに良い影響を与えたという。

それどころか全盛期は過ぎていたもののデビュー戦となったFAカップのアストンビラ戦や、ワトフォードと対戦したリーグ戦でもゴールを記録。チームを勢い付け、3月にはチームを退団したものの、リーグ優勝の立役者として監督から感謝され、ファンからも愛される存在となった。

 その過去はオレ・グンナー・スールシャール監督も当然知っている。むしろ誰よりも実感しているに違いない。何故なら監督自身も、当時は現役選手として、チームの上向きを中から目の当たりにしていたのだから。

本田圭佑はユナイテッド加入すればチームにメリットをもたらすのか

 
 さてこの事例を踏まえた上で、本田圭佑のユナイテッド加入について改めて考えてみたい。

 まず選手として、本田のようなタイプが欲しいのは事実だ。今のユナイテッドには身体能力が高くスペースがあれば輝くタイプは数多く在籍しているものの、金髪がトレードマークのゲームメイカーのようにボールをキープして、時間を作ることができる選手がいない。結果として唯一中盤でタメを作れるポール・ポグバにほとんど全ての攻撃のスタートを依存する状態になっている。

 そういう意味では、「もし全盛期の本田圭佑なら」という条件付きでいうなら、間違いなく今のユナイテッドに欲しい。2列目の位置で縦パスをおさめ、時間を作っているうちに、マーカス・ラッシュフォードが裏のスペースに飛び出す…という光景は簡単に脳裏に描くことができる。

 ただし現実的に考えると本田はもう33歳。本人は否定するかもしれないが、選手としてのピークは過ぎているだろう。また無所属の期間が数か月続いているため、コンディションの状態は不明だ。なおかつプレミアリーグ初挑戦。そのスピード感に慣れるまでかなりの時間を要する可能性はある。選手としては活躍できない可能性のほうが高い。

 一方で本田圭佑が練習やサッカーに対してストイックな姿勢を持っていることは広く知られている通りだろう。現在のユナイテッドは平均年齢が若く、お手本となれるベテランが少ないのも事実だ。本田がストイックな姿勢を練習場で見せることや、常に自信を失わない姿勢を見せることで、意気消沈しているユナイテッドの選手たちに火をつける可能性は十分にある。

 そういう意味では、打算的に考えて、最悪ピッチ上で活躍できなかったとしても、本田がチームにいるだけで良い影響を与える存在になる可能性はある。日本国内ではユニフォームも売れることを考えれば、金銭面のメリットもある。当然、本田圭佑側にも高いレベルでサッカーをする機会を得るというメリットを得ることになる。本当に無給とはならないだろうが、いずれにしても給与次第ではこのディールは全く持って論外とも言い切れないのだ。

 ユナイテッドにとって本田の獲得がベストの選択肢かと問われれば、悩ましいところである。ただ仮に実現したとしても、頭ごなしに批判する必要はないように思える。今後の動向にも注目したいところだ。

(文:内藤秀明)

【了】

新着記事

↑top