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ザルツブルクで躍動する19歳のCL得点王。南野拓実との抜群の連係、ナポリも止められない理由

UEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループリーグC組第3節、ザルツブルク対ナポリの試合が現地時間23日に行われた。試合はナポリが3-2で勝利を収め、グループ首位を堅持。しかし、CLデビューから3試合連続得点をマークする19歳のアーリング・ハーランドは、堅守を誇るナポリを以ってしても、止めることはできなかった。(文:加藤健一)

text by 加藤健一 photo by Getty Images

CL得点王は19歳のノルウェー代表FW

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ザルツブルクのFWアーリング・ハーランド【写真:Getty Images】

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)はすべてのチームが3試合を戦い、グループリーグの半分を消化した。得点ランキングを見ると、ロベルト・レバンドフスキ、ラヒーム・スターリング、ハリー・ケインといったワールドクラスのアタッカーたちが上位に名を連ねる。しかし、その一番上には、世界的にはまだ無名の19歳がランクインしている。

 アーリング・ハーランド。2000年生まれの19歳、ザルツブルクに所属するノルウェー代表FWだ。CLデビューとなった初戦のヘンク戦でハットトリックを決めると、昨季王者のリバプール戦でも途中出場からゴール。そしてこの日の試合では、首位ナポリに対して2得点を挙げた。

 この試合でザルツブルクは4-2-3-1の布陣を採用した。1トップにハーランド、トップ下に南野拓実が入り、これまで2トップの一角を務めることが多かった韓国代表FWファン・ヒチャンは左サイドハーフに回った。

 試合はがっぷり四つに組む様相となった。ザルツブルクは4-4-2で構えるナポリに対して積極的に縦パスを入れ、ボールを失ってもシームレスなトランジションで即時にボールを回収して2次攻撃へとつなげる。

 一方のナポリも負けじと球際での強さを発揮し、機を見て相手の高いディフェンスラインを突破し、相手ゴールへと襲い掛かる。特にDFケビン・マルキュイとMFホセ・マリア・カジェホンがいた右サイドからは多くのチャンスが生まれていた。

巧みな試合運びを見せたナポリ

 先にゴールネットを揺らしたのはザルツブルクだった。8分にファン・ヒチャンの落としをMFエノク・エムウェブが左足でシュートを放つ。これは相手DFに当たったが、そのリフレクションにハーランドが反応し、素早い反転からのシュートがゴールへと吸い込まれた。しかし、VARが介入して検証した結果、ハーランドのオフサイドがあったためにゴールは認められなかった。

 17分にメルテンスのゴールで先制を許したザルツブルクだが、積極果敢なプレーが影を潜めることはない。左サイドからドリブルで突破を狙うファン・ヒチャンを、マルキュイが倒してPKの判定。これをハーランドが落ち着いて決めて、3試合連続ゴールをマークした。

 しかし、64分にマルキュイが右サイドからあげたクロスをメルテンスがまたしても決め、ナポリは再びリードを奪うことに成功。CLを3回制した老将カルロ・アンチェロッティに率いられるチームは、前途有望な若手がひしめくザルツブルクに対して、巧みな試合運びを見せた。

 それでもザルツブルクは屈しない。MFズラトコ・ユヌゾビッチが左サイドから上げたクロスに、ハーランドが頭で合わせてゴールネットを揺らす。CL得点ランキングトップに躍り出る6点目のゴールは、値千金の同点ゴールとなった。

 しかし、ザルツブルクの興奮冷めやらぬうちにナポリが反撃を仕掛ける。メルテンスが右サイドからクロスをあげると、インシーニェが右足を振り抜くと、相手DFに当たってゴールへと吸い込まれて2-3。途中出場のイタリア代表FWが決定的な仕事を果たした。

ザルツブルクの前線トリオが得点を量産する理由

 試合はこのまま2-3終わり、ザルツブルクはリバプール戦に続いて強豪を苦しめたものの、あと一歩のところで勝ち点を得ることは叶わなかった。

 ザルツブルクはおよそ四半世紀ぶりの本戦出場となったCLで3試合を戦い、1勝2敗、グループEの3位となっている。しかし、リバプールとナポリの2強という戦前の予想を覆し、その2強を苦しめる戦いを見せている。

 特筆すべきは、ザルツブルクの前線のトリオだろう。先述のハーランドは今季、公式戦13試合に出場し、20得点5アシストと圧倒的な成績を残している。194cmの体躯を誇りながらモビリティとボールタッチに優れ、頭だけでなく、両足からゴールを奪うことができる。そのゴールバリエーションの豊富さが、ここまで得点を量産できる理由の一つになっている。

 バイタルエリアでの間受けが得意な南野と、ドリブルでアクセントをつけられるファン・ヒチャンとの組合せは抜群だ。ハーランドも労を惜しまずに前線からプレスをかけ、ボールを奪われてもシームレスなトランジションで相手にプレッシャーをかける。2次攻撃、3次攻撃と続く中で、相手DFに隙ができる。

 グループリーグはちょうど半分を消化し、第4節では再びナポリと対戦する。3位にいるものの、これまでの勢いを維持しながら、ナポリやリバプールが見せた試合巧者の戦い方から学ぶことができれば、決勝トーナメント進出への道も拓けてくる。昨季にアヤックスが見せた快進撃を、今季はザルツブルクが見せるかもしれない。

(文:加藤健一)

【了】

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