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韓国代表、憂うべき開催国の痛々しさ。香港戦の観客はわずか1000人、市民の興味は湧かず…【E-1サッカー選手権】

韓国代表は11日、EAFF E-1サッカー選手権で香港代表と対戦し、2-0で勝利を収めた。大胆な選手起用を試みた韓国は、FC東京に所属するナ・サンホのヘディング弾などで勝利したが、会場に集まった観客はわずか1070人。韓国国内の興味の薄さが目立った。(取材・文:キム・ドンヒョン【韓国】)

text by キム・ドンヒョン photo by Getty Images

香港戦で大胆にメンバーを替えた韓国代表

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香港代表に2-0で勝利した韓国代表【写真:Getty Images】

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 E-1サッカー選手権・第1戦が行われた釜山は凄まじい寒さに見舞われた。この日の午前までは暖かったものの、いきなり空気が冷え込み、強い風さえも吹き始めた。

 それに韓国の相手は香港。サッカーというイメージが思い浮かぶ国ではない。どちらかといえば弱小国の印象が強い。韓国人の興味を引くにもなかなか難しい。一番の人気を誇るソン・フンミンも今回は招集されておらず、国内組やJリーグ、中国リーグでプレーする選手が中心となった。

 そのせいもあってか現場は冷え込んでいた。観客はほとんどが関係者か選手の家族とみられる人物。およそ1000人弱に見えた(実際集計された観客は1070人だった)。どう見てもA代表の試合とは言い難い風景が広がっていた。試合の重要度などを考慮すると妥当な数字かもしれないが。

 先発も大胆に変えてきた。Jリーグファンにはお馴染みのク・ソンユン(札幌)やキム・ヨングォン(G大阪)、ナ・サンホ(FC東京)などの顔ぶれやKリーグ屈指のウインガー、ムン・ソンミン、キム・スンデ(以上全北)が名を連ねる。パウロ・ベント監督としてはなかなかのテストだ。

 試合は一方的な流れ。韓国が最初からボールを保持しながら相手にプレスをかける。サイドへボールを送り込み、そこから早い段階のクロスで状況を打開しようとする。だが、ゴールはなかなか生まれない。

 ゴールが生まれたのは前半終了間際。ファン・インボム(バンクーバー)の直接フリーキックがゴールネットを揺らす。そして後半37分、ナ・サンホのヘッドで追加点を奪った。これが決勝ゴールとなり、2-0と完封勝利を収めた。

憂うべきはピッチ外の痛々しさ

 ゴールの数は少ないといえ、韓国はやりたいことをすべて試みた。キム・スンデが肋骨の怪我で離脱するアクシデントもあったものの、戦術の部分での多様性を持とうとしたところは称賛に値する。

 特にサイドを利用したプレーを積極的に仕掛ける場面は、引いて守った香港に相当なダメージを与えることもできた。ここに集まった選手たちの中で、一緒にプレーしたことがある選手はほとんどいないに等しい。チームとしての完成度が期待できない中で挙げた勝利には意味がある。

 しかし憂うべきはやはりピッチ外のことだろう。いくら相手が弱小チームとはいえ1000人しか集客できなかったのは痛々しい。街中でもE-1の横断幕を見つけることは難しく無いが、市民の興味はなかなか湧かないようだ。

 日曜日の中国戦はまだしも、注目の日韓戦は香港戦と同じ時間帯である。日本という宿命のライバルとの決戦が釜山の観客を奮起させられるかも注目してみたいところだ。

(取材・文:キム・ドンヒョン【韓国】)

【了】

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