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マンC、垣間見られる問題点とは? 一方試合を支配し続け上位対決を制すも

プレミアリーグ第18節、マンチェスター・シティ対レスターの一戦が現地21日に行われ、3-1でホームチームが勝利を収めた。3位と2位の上位対決は両者にとって言うまでもなく負けられない一戦であった。しかし試合結果と内容ともにシティが力の差を見せつける展開となった。(文:松井悠眞)

text by 松井悠眞 photo by Getty Images

負けられない上位対決

マンチェスター・シティ
上位対決を制したマンチェスター・シティ【写真:Getty Images】

 この試合は3位マンチェスター・シティが2位レスターをホームに迎えた上位対決となった。その勝ち点差は「4」と、両者にとって負けられない試合となった。そしてこれ以上離されたくない者と更に引き離したい者の試合は、ホームチームが勝利を収め、その差を「1」と縮めることに成功をした。

 シティの自慢の攻撃陣は今季も健在で、この試合前の時点で47ゴールを決めている。しかし守備に関して言えば、やや安定感を欠いているという印象を受ける。失点こそ多くはないが、先制点を許す試合やファーストチャンスを先に譲ってしまう試合が多いのだ。

 一方、今季のレスターは「強い」という印象を受ける。今節開始前の失点はリーグ最小の11失点、勝ち点は39となっている。また勝ち点だけを見れば、奇跡の優勝を決めた15/16シーズンよりも多くポイントを獲得している。その要因に攻撃的なチームへと進化を遂げたことが挙げられるだろう。

 さて、この試合はシティのホームであることから、ホームチームが試合を支配することになる。データサイト『Who Scored』によるとシティのポゼッションは63.1%:36.9%、シュート数は23:5、そのうち枠内が12:2、パス本数684:397、パス成功率が90%:82%と大きく相手を上回った。

力の差を見せたシティ

 しかし先制点を奪ったのはアウェイチームの方であった。21分、カウンターからFWジェイミー・ヴァーディがチップシュートで落ち着いて決めた。このゴールがこの日最初のシュートであった。またヴァーディはこの得点によって今季のゴール数を「17」とし、得点ランキングトップを快走している。

 攻めていながら追う展開になってしまったシティだが、ラッキーな形で同点ゴールを奪うことになる。29分、MFリャド・マフレズが放ったシュートがDFチャーラル・ソユンジュに当たり、コースが変わってそのままゴールに吸い込まれた。

 シティは攻守の切り替えが非常に早くボールを奪われてから近くの選手がすぐにプレスをかけるため、レスターの選手たちはボールをキープすることが出来ず、ほとんどの時間を自陣内で過ごすことになる。

 そして40分にFWラヒーム・スターリングがDFリカルド・ペレイラに倒されてPKを獲得。これをMFイルカイ・ギュンドアンが落ち着いて決めて逆転に成功をする。そしてレスターにとって、第8節のリバプール戦以来の複数失点となってしまった。

 後半に入ってもシティが攻撃の手を緩めることはなく、再三相手ゴールを脅かす。同点ゴールと逆転ゴールは言ってしまえばラッキーな形でのゴールであった。しかし68分に得意のパターンから追加点を奪う。MFケビン・デ・ブルイネがドリブルで右サイドを突破すると、グラウンダーのクロスをあげてファーサイドでフリーになっていたFWガブリエウ・ジェズスがゴールネットを揺らした。

 その後はゴールを奪うことはなかったものの、守備の面でも安定感を見せて好調レスターの攻撃陣を封じた。

シティの垣間見られる問題…

 サイドを中心に攻撃を組み立てるシティは、この試合は右サイドを中心に相手DFラインを崩す。マフレズがサイドに張りボールを受けると、2列目のデ・ブルイネとMFベルナルド・シウバがハーフスペースに走り込み、相手CBを引っ張り出す。すると中にスペースが生まれるため、そこにクロスを供給してゴールに迫るシーンが散見された。それでも最後の場面でDFがブロックをしたり、GKキャスパー・シュマイケルが立ちはだかったりとゴールを奪うことは出来なかった。

 今節も前節に続き3得点を奪うなど攻撃面に関して言えば、ヘップ・グアルディオラの戦術がチーム内に浸透しており、連動性のある攻撃が出来ているが、問題は守備面にある。

 この試合は前線からのプレスがうまくハマっていたが、先制点を奪われる試合やファーストチャンスを相手に作られてしまう試合が多く、この試合も先制点を献上している。前節のアーセナル戦は3-0と快勝したが、最初にゴールチャンスを作ったのはアーセナルであった。また第16節のマンチェスター・ユナイテッドとの一戦では先制点を奪われてしまっている。この問題が今季のシティに垣間見られる。

 そしてもう一つ心配事がある。それはグアルディオラの右腕として、これまで支えてきたミケル・アルテタ氏がアーセナルの監督に就任をしたことだ。指揮官はアルテタに対して絶大な信頼を寄せており、将来的にシティの監督になることが出来るほどの能力を持っていることを認めていた。アルテタを引き抜かれて初めての試合となった今節は勝利を収めたが、彼の不在はチームにとって大きなダメージとなるだろう。後半戦にそのダメージが残らないと良いが果たして…

タレント力で劣るも…

 一方のレスターは今季、一味も二味も違うチームであるが、シティのようなビッグクラブと対戦をするとやはり「タレント力」という面で劣ってしまう。個の力が最終的にチーム力の差となるため、この試合は現実を突きつけられる試合となってしまった。

 それでもシティを相手に先制点を挙げるなど、ワンチャンスをものにする力はあると言える。得点こそ1ゴールに終わったが、その後も決定機を作るなどチャンスはあった。今季からポゼッションを高めても得点が奪えるチームへと変貌をしているが、カウンターからもゴールを決めることが出来る。2つの武器を使いこなせるチームになっている。

 それが可能なのもヴァーディが前線に存在するからだろう。承知の通り、同選手の武器はスピードであるため、前線のスペースに走らせるようなパスを出すことが出来れば、多少雑なパスでも仕事をしてくれる。特に今季は絶好調で先に記した通り得点ランキングを独走している。

 タレント力ではシティやリバプールに劣るかもしれないが、優勝を決めたシーズンもそうであった。持ち前の団結力でその穴を埋めることが出来れば、後半戦も上位に留まることが出来るだろう。どこまでこのチームが上位に食い込めるか注目だ。

(文:松井悠眞)

【了】

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