リバプール、クロップ戦術はどう進化したのか? ファン・ダイクの一閃が産むビッグチャンス【戦術徹底解剖・前編】

今季のリバプールは“4局面のコンプリート”を目指している、と今回が「フットボール批評」初参戦となるらいかーると氏は言う。戦術クラスタ最古参にたっぷりとリバプールを解剖して貰った2/6発売の『フットボール『戦術』批評』から一部を抜粋して前後編で先行公開する。今回は前編。(文:らいかーると)

2020年01月24日(Fri)7時15分配信

text by らいかーると
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ファン・ダイクのロングボール

「リバプールと対戦するときは、ボールを奪われてはいけない。ボールを奪われたら一気にカウンターを仕掛けてくるからだ。ボールを奪われないためにはボールを持たなければいい。だから、リバプールにボールを持たせて、オレたちは自陣に撤退して守備を固めてカウンターを狙うんだ」

 近年のリバプール対策の標語である。よって、ボールを持たされることが増えたリバプールは、ボールを保持しているときの局面を徹底的に磨く必要があった。

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ファン・ダイクからのロングボールで一気にゴール前へ(図1)

 相手はリバプールにボールを持たせることを意図したプレッシングになるので、攻撃のスイッチを入れさせるようなプレッシングはしてこない。よって、GKアリソンまでプレッシングをかけ、ボールを持っているCBに襲いかかったりする必要はない。ただ、その影響でまったりとボールを持ててしまうCBのなかで非常に目立っているのがファン・ダイクのロングボールだ。

 リバプールはフリーのファン・ダイクから一気に相手の裏にピンポイントのロングボールを蹴る速攻を行う。味方に通ればビッグチャンス。通らなければ相手のボールになってしまうことが多い裏狙いの速攻だが、リバプールはボールを失うことをあまり気にしてはいない。

 なぜなら、相手がボールを持たせたいと願っている状況で、「ボールを持たないよ」という駆け引きは非常に理に適っているからだ。よって、ボールを持たずに速攻を連発するという策は論理的なのである。

 さらに、ロングボールへの飛び出し方も多種多様となっている。サラーが単独で裏を狙う形もあれば、フィルミーノが下りる動きでできたスペースに他の選手が飛び出す形もある。WGの位置からゴール前に斜めに侵入してくる動きはゴールに直結する。相手の選手はマークの受け渡しをしている場合ではないが、ついていけば持ち場を離れすぎてしまうという、相反する判断を何度も強いられる状況となってしまう。

(文:らいかーると)

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フットボール『戦術』批評


定価:本体1500円+税

<書籍概要>
フットボール批評の新たな試みである別冊『戦術批評』では、最新にして最強の戦術コンセプト“クロップ魔法陣”の全貌を、古今東西の戦術ライター、戦術アナリストたちが解き明かす。賢者たちは、実はリバプールが“堅攻”であることを我々に教えてくれる。
コンパクトな陣形を保ちながらの高い位置でのボール奪取は、すなわち限りなくチャンスを創出しやすいからである。いや、“堅攻”という表現さえ当てはまらない可能性がある。指揮官のクロップには攻守の切り替えという概念すらないかもしれない。
最適解のワードを見つけるべく、“クロップ魔法陣”の核心部に迫っていく。

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【了】

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