中島翔哉、2ヶ月ぶりトップ下の出来は? VAR恐るべし…ポルトはわずか「3cm」に泣く

ポルトガル1部リーグ第24節が現地7日に行われ、ポルトはリオ・アヴェと1-1のドローを演じた。同じ日に行われた試合で引き分けた2位ベンフィカを突き放したかったが、絶好のチャンスを逃すことに。久々のトップ下で先発出場した中島翔哉は消化不良に終わり、チームもわずか3cmのギャップで涙を呑むこととなった。(文:舩木渉)

2020年03月08日(Sun)15時48分配信

text by 舩木渉 photo Getty Images
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中島翔哉、2ヶ月ぶりの先発トップ下

中島翔哉
【写真:Getty Images】

 危うく1週間で首位から陥落するところだった。やや調子を落としている2位ベンフィカがヴィトーリア・セトゥバルと1-1で引き分けたことで、ポルトは勝ち点差1ポイントを維持することができた。

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 現地7日に行われたポルトガル1部リーグ第24節で、ポルトはリオ・アヴェと1-1のドローに終わった。ひたすら守備的に戦う相手を崩しきれず。ゴールは前半にセットプレーの流れから奪った1つだけ。選手たちはなかなか突き抜けられないもどかしさを感じているはずだ。

 約2ヶ月ぶりに先発出場の機会を得た中島翔哉も、髪を切ってさっぱりした外見とは裏腹に、すっきりとした気持ちで試合を終えることはできなかった。

 最も輝いていた昨年12月下旬から今年1月上旬にかけて任されていた4-2-3-1のトップ下に入った中島は、ボールを受けられるスペースを探して彷徨い続けた。前半戦の対戦時は4-4-2だったリオ・アヴェは、この試合に向けて5-4-1の堅い守備組織を用意してきていた。今季、ベンフィカやブラガといった格上相手のアウェイゲームで使ってきた常套手段だ。

 5位につける上位クラブがゴール前を固めると、当然ながら崩すのは容易ではない。リオ・アヴェの5バックはペナルティエリアの幅を保ち、中央の最も危険なスペースを徹底的に潰してきた。5-4-1の「5」と「4」のライン間の管理も見事で、中島は相手の守りの網に捕らわれて翼を広げることができなかった。

 攻めあぐねていたポルトだが、それでも18分に先制に成功する。アレックス・テレスが蹴った右コーナーキックのこぼれ球に、ファーサイドでフリーになっていた中島が反応して折り返す。最後はゴール前に詰めていたセンターバックのチャンセル・ムベンバが押し込んだ。

 意外かもしれないが、これが中島にとってはリーグ戦での今季初アシストになった。しかし、前半の見せ場はこのアシストパスくらい。他にミドルシュートを放つ場面もあるにはあったとはいえ、多くの時間をスペース探索に奪われ、理想的な形でパスを受けてからのいつものような軽快なドリブル突破やラストパスはほとんど見られなかった。

 後半、ポルトを率いるセルジオ・コンセイソン監督は選手の配置転換とシステムの微調整に踏み切った。トップ下の中島を左サイドへ移し、左サイドでスタートしていたムサ・マレガを最も得意とする最前線に置く4-4-2にシフトして圧力を強めようとした。

ガチガチの守備を崩しきれず…

 リードを奪いはしたものの、前半は得点源として期待された1トップのチキーニョ・ソアレスが相手の3人のセンターバックに絡め取られて不発。結局前半のうちに追いつかれ、ポルトは後半からストライカーを増やすことで力技での打開を試みたのである。

 左サイドの中島といえば、やはりドリブルでのカットインからの強烈なミドルシュートをイメージするだろう。ところがリオ・アヴェ戦では、その武器を完全に封じられた。アウトサイドでボールを持っても目の前には相手右サイドバックがぴったりと貼りつき、周りとの連係でカットインしても次のサポートがすぐに寄せてくる。

 後半開始早々の48分にカットインして鋭いクロスを放つも、中央でマレガが合わせきれず。なかなかシュートまで持ち込めないまま、62分にロマーリオ・バロとの交代でピッチを退いた。コンセイソン監督が着ることのできる最初の交代カードとしては、展開を考えれば最も妥当な選択肢だっただろう。

 5バックで軸足を守備に置いたリオ・アヴェは、基本的にカウンターに狙いを定めて反撃の機をうかがっていた。ポルトは押し込み続け、試合終了までに23本のシュートを放った。後半だけでも16本だ。リオ・アヴェには90分で6本しかシュートを許していない。それでも勝ちきれなかった。

 1点リードしていた前半の32分、簡単なコンビネーションでセンターバック2人の鎖をちぎられ、イラン代表FWメディ・タレミにゴールを割られた。これがリオ・アヴェの最初のシュート。前半はヌーノ・サントスの強烈な左足ミドルシュートを浴びてGKアグスティン・マルチェシンがギリギリのセーブを強いられる場面もあったが、試合の主導権はポルトにあった。

 悔やまれるのはVARがあまりにも精密だったことだろうか。78分、敵陣深くでボールを奪ったポルトは、そこから決勝点を奪ったかに思われた。セルジオ・オリヴェイラのミドルシュートがGKパヴェウ・キーシェクを強襲し、こぼれ球にチキーニョ・ソアレスが詰める。これは再びGKに阻まれたが、最後はマレガが押し込んでエスタディオ・ド・ドラゴンが歓喜に包まれた。

 しかし、このゴールはオフサイドがあったとして取り消されてしまう。VARの介入による約5分間にも及んだ映像チェックの結果、セルジオ・オリヴェイラがシュートを打った瞬間にチキーニョ・ソアレスの体の一部がオフサイドラインをはみ出していたと判定された。そのギャップは、わずかに「3cm」。

 肉眼では絶対に見抜けないオフサイドをテクノロジーに見破られ、ポルトは涙を呑んだ。終盤もリオ・アヴェの守備が決壊することなく、1-1のまま試合終了。冒頭で述べた通りポルトは首位の座こそ守ったものの、1ポイント差の2位ベンフィカを突き放す絶好のチャンスを逃してしまった。

安泰ではない首位の座

 前線のスペースを消されると攻撃がアイディア不足に陥るのは、ポルトにとって今になって出てきた課題ではない。苦しい展開でも勝ちきれていた要因は、アレックス・テレスをはじめとした爆発力を秘めるサイドプレーヤーたちからのクロスやミドルシュートなどの飛び道具があったから。今のリオ・アヴェには、それすらも封じる徹底した守備を実行するポテンシャルがあった。

 リオ・アヴェを率いるカルロス・カルバリャル監督は手堅い組織づくりに定評のある指導者で、ポルトのコンセイソン監督も「彼はポルトガルの選手やチームを熟知した最も経験豊富な監督の1人で、我々のリーグ内で最も優れた監督の1人でもある」と手腕を認めるほどだ。

 今季はベンフィカやブラガといった格上との戦いは落としているものの、調子の上がらないスポルティングCPを確実に叩き、上位陣に見劣りしない戦いぶりで5位につけている。リオ・アヴェが有能な監督に率いられた堅実で洗練されたチームであるのは間違いない。

 ポルトは次節ファマリカンとのアウェイゲームに臨む。今季前半戦では3-0の快勝を収めたものの、ベンフィカやスポルティングCPを除けばチームとしての総合力の高さを最も感じさせたのがファマリカンだった。一時は首位に立つなどポルトガルリーグで旋風を巻き起こした新興勢力だ。

 そんな強敵との一戦は攻守のキーマンであるアレックス・テレスが累積警告により出場停止で欠場確定、負傷を抱えるルイス・ディアスやヴィトール・フェレイラ、ゼ・ルイスも復帰できるか不透明な状況となっている。攻撃陣に離脱者が多い中で、中島も自身の評価を再び高めるために正念場を迎えることになるだろう。

 ヨーロッパリーグ敗退が決まったため、休養と準備のための時間をたっぷり取れる。「我々は勝つために全てのことをした。今は顔を上げていかなければならない。我々には毎日結果を手にするために働く素晴らしいチームがある。最後まで戦うつもりだ」と息巻くコンセイソン監督が、どんな采配でチームを勝利に導くかも注目だ。再逆転を虎視眈々と狙うベンフィカも、勝ち星を落とし続けてはくれない。

(文:舩木渉)

【了】

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