鎌田大地の健闘も虚しく…。王者バイエルンが誇示したその力、絶大な存在感を放った男とは?

DFBポカール準決勝、バイエルン・ミュンヘン対アイントラハト・フランクフルトが現地時間10日に行われ、2-1でホームチームが勝利している。日本代表MFの鎌田大地は後半から出場。同点弾を演出するなど、ピッチ内で健闘を見せた。しかし、最後はダビド・アラバが躍動した絶対王者に力の差を痛感させられる結果となった。(文:小澤祐作)

2020年06月11日(Thu)11時23分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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圧倒的なバイエルンの前半

バイエルン・ミュンヘン
【写真:Getty Images】

 新型コロナウイルスの影響で日本中がネガティブな空気に包まれる中、ドイツの地では二人のサムライが大きく躍動している。MF長谷部誠とFW鎌田大地だ。

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 リーグ再開後もコンスタントに出場機会を得ている長谷部は、第30節のマインツ戦でピッチに立ったことで、元韓国代表のチャ・ボングン氏を抜いてブンデスリーガにおけるアジア人歴代最多出場記録を更新。金字塔を打ち立てた。一方、鎌田も中断明け以降継続して出場機会を得ており、第28節と第29節では連続ゴールも記録。攻撃陣を牽引している。

 そんな両者が所属するアイントラハト・フランクフルトは現地時間10日、DFBポカール準決勝に挑んでいる。相手は、今季のブンデスリーガ優勝をほぼ手中に収めた絶対王者バイエルン・ミュンヘンだ。

 長谷部と鎌田が揃ってベンチスタートとなったこの試合は、立ち上がりからバイエルンがボールを保持し、フランクフルトが自陣で守りを固めるという予想通りの展開となった。ホームチームは最終ラインから最前線に至るまでスムーズにパスを繋ぐなど、テンポの良い崩しで相手を翻弄。サイドバックとしての能力を開花させたMFアルフォンソ・デイビスも立ち上がりから果敢にドリブルを仕掛け、敵陣深い位置まで侵入していた。

 さっそく流れを掴んだバイエルンは、その勢いのまま14分にFWイバン・ペリシッチがゴール。申し分ない試合の入りとなった。

 その後もフランクフルトにペースを与えなかったバイエルン。中盤ではMFヨシュア・キミッヒとMFレオン・ゴレツカのコンビが常に睨みを利かせており、読みの鋭さと素早い動き出しを活かして幾度となくボールをカット。CBとうまく連係しながら挟み込んで相手を無力化するシーンも多々あったなど、フランクフルトにカウンターのチャンスすら与えない完璧な対応を見せていた。

 最前線のFWアンドレ・シウバが孤立し、MFミヤト・ガチノビッチらも沈黙したフランクフルトの攻撃陣は、前半わずか2本のシュートしか放つことができなかった。対してバイエルンは支配率66%を記録し、シュート数は45分間だけで8本。両者の間にあった「差」は明らかだった。

鎌田投入で流れに変化も…

 後半も、立ち上がりは変わらずバイエルンのペース。前半同様、ピッチを幅広く使いながらボールを前進させ、サイドバックも積極的に絡む厚みのある攻撃を展開し、フランクフルトを突き放そうとゴールへ向かい続けた。

 一方、この流れを断ち切りたいアディ・ヒュッター監督は66分に動く。ガチノビッチとDFアルマミー・トゥーレを下げ、鎌田とDFダニー・ダ・コスタを投入したのだ。

 結果論にはなってしまうが、この交代策は成功だった。とくに、鎌田の働きぶりはチーム全体の流れを大きく変えたと言えるだろう。

 ピッチイン直後の68分、キミッヒの脇のスペースを突き最終ラインからパスを引き出した背番号15は、巧みなコントロールでキミッヒをかわしサイドにボールを流す。DFティモシー・チャンドラーのリターンを受けた鎌田は、難しいボールをしっかり収めシュート。このこぼれ球をダ・コスタが押し込んだ。

 同点弾を演出した鎌田は、その後もアタッキングサード、ミドルサードで積極的にボールを引き出すなど攻撃陣を牽引。キープ力に長ける日本人選手が入ったことで前線にタメができ、フランクフルトの攻撃にも前半にはなかった“可能性”というものがしっかりと表れていた。

 しかし、王者バイエルンに力を見せつけられた。同点弾からわずか5分後、驚異的なペースで得点を量産するFWロベルト・レバンドフスキがゴールネットを揺らし、勝ち越し。フランクフルトは再び1点を追う厳しい展開に持っていかれた。

 ただ前半とは違い、フランクフルトはペースこそ握っていた。全体的に前半よりもボールホルダーへのチェックが素早くなっており、セカンドボールも的確に回収。攻撃時は鎌田らを活かしながらサイドからの仕掛けを中心に、バイエルンのラインを押し下げていた。

 しかし、仕上げの部分で精度を欠いたフランクフルト。後半は支配率、シュート数の両方でバイエルンを上回りながら、1点を奪うのが精一杯であった。結局、試合は2-1のまま終了。バイエルンがレバークーゼンの待つ決勝戦へと駒を進めた。

輝きを放ったダビド・アラバ

ダビド・アラバ
【写真:Getty Images】

 クラブ公式サイトによると、試合後ハンジ・フリック監督は前半で点差をつけておくべきだったと認めつつも、「それでもチームには最大の賛辞を贈るべきだ。我々は絶好調で、チームは非常に良い試合を行った。それならば後半の出来は目を瞑るべきだろう」とコメントしていたという。指揮官が話した通り、難しい試合展開でも勝利をもぎ取れるバイエルンはまさに「絶好調」と言えるだろう。

 そんなチームにおいてこの日、ひと際輝きを放った選手がいる。オーストリア代表DFのダビド・アラバだ。

 A・デイビスの台頭もあり今季はセンターバックとしてのプレーが基本となっているアラバは、この日も同ポジションで先発。DFジェローム・ボアテングやA・デイビスのカバーリングなどを的確に行い、ボールを奪ってからは積極的に前線へも飛び出すなど、90分間攻守両面で大きく奮闘していた。

 とくに目立ったのはビルドアップでの貢献度。この日の攻撃はほとんどアラバから始まったと言ってもいいのではないだろうか。手で味方に指示を送りながらパスコースを的確に確保し、左足で鋭くかつ正確な縦パスを何本も入れた。リズムを大きく変えるサイドチェンジの質も高く、最終ラインからフランクフルトの脅威となっていた。

 アラバはボールを受けると余裕がなくなるまでとにかく前を見続けている。サイドバック、または片方のCBの選手がフリーとなっていてもすぐにそこへはパスを出さず、まずはトップやトップ下、あるいはサイドハーフの選手を常に確認している。スペースがなくても手で指示を送って味方を動かし、パスコースを作り上げることが可能。そこからボールを出すまでのテンポも非常に良い。正確性はもちろん抜群で、受け手側が次のプレーに移りやすいような、思いやりのあるボールも印象的だった。

 データサイト『Sofa Score』によるとアラバはこの日、パス72本を繰り出しており、成功率90%という申し分ない数字を残している。決定的なミスもなく、攻守両面でほぼパーフェクトな内容だったと言えるだろう。

 アラバの活躍もあり、3シーズン連続でDFBポカール決勝へたどり着いたバイエルン。ファイナルの相手は今季リーグ戦で1勝1敗としているレバークーゼンだが、果たして連覇を果たすことはできるか。

(文:小澤祐作)

【了】

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