バルセロナ、屈辱的なドローの原因。魅力に乏しい各駅停車攻撃、防ぎきれなかった穴とは?

ラ・リーガ第32節、セルタ対バルセロナが現地時間27日に行われ、2-2のドローに終わっている。リーグ3連覇を目指すバルセロナにとっては痛い勝ち点1。ライバルであるレアル・マドリーに突き放されてしまう可能性も高く、後味の悪いゲームとなった。残留争いに苦しむ相手に、バルセロナはなぜ苦戦したのか。(文:小澤祐作)

2020年06月28日(Sun)11時39分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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優勝へ向けて痛い勝ち点1

バルセロナ
【写真:Getty Images】

 ブンデスリーガではバイエルン・ミュンヘンの、プレミアリーグではリバプールの今季優勝が確定した。セリエAはラツィオが奮闘しているものの、結局はユベントスの9連覇に終わる可能性が最も高い。そして、バルセロナとレアル・マドリーが激しい首位争いを繰り広げているラ・リーガも、優勝の行方はほぼ決まったと言えるのかもしれない。

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 現地時間27日、ラ・リーガ第32節のセルタ対バルセロナが行われ、2-2のドロー決着。3連覇を狙うバルセロナはこれでリーグ再開後の成績が2勝2分となっているなど、ブレーキを踏んだ。ここ最近のパフォーマンスを見てもマドリーが簡単に勝ち点を失うとは思えず、暫定首位にいるとはいえ、キケ・セティエン監督率いるチームは厳しい立場にあると言える。

 残留争いに苦しむセルタのホーム、エスタディオ・バライドスに乗り込んだバルセロナは、前半こそ悪くなかった。前節同様、引いた相手に対し確実にボールを保持し、テンポの良いパスで守備陣を揺さぶる。左ウイングに入ったFWアンス・ファティは果敢に仕掛け深さを取り、DFネウソン・セメドとDFジョルディ・アルバの両サイドバックも積極的に攻撃参加。セルタを押し込んだ。

 そして20分にはFKのチャンス。見事なトリックプレーから最後はFWルイス・スアレスが頭で押し込み、幸先よく先制ゴールを奪うこともできた。カウンターから何度かピンチを招いたとはいえ、守備陣も0に抑えるなど、リードして45分間を終えられたことは非常にポジティブだったと言える。

 しかし、後半は流れが一変。50分にFWヒョードル・スモロフに同点弾を浴びると、その後もなかなかペースは掴めず。67分にスアレスが何とかゴールをこじ開けるものの、終盤に相手のエースであるFWイアゴ・アスパスに直接FKを叩き込まれるなど、2度のリードを守り切れず。ATにはあわや逆転弾というシーンも作られるなど、ギリギリで勝ち点1を拾う結果となった。

 今節、マドリーがエスパニョールに勝利すると両者の勝ち点差は「2」に広がる。バルセロナにとって十分射程範囲ではあるが、以前にDFジェラール・ピケが「(マドリーが)勝ち点を落とすとは思えない」と話すなど、今のバルセロナには自信がなく、一方のライバルチームは自信に満ち溢れている印象がある。両者の正反対な現状を考えても、やはり今季のラ・リーガ王者はほぼ決まったと言えるだろう。

いつも通りの各駅停車攻撃

 さて、この日のバルセロナ攻撃陣であるが、実に18本のシュートを放ちながら2点しか奪うことができなかった。スアレスが2ゴールを決め状態の良さをアピールしたのはポジティブな要素だが、やはり課題は山積みと言えるだろう。

 先述した通り、前半は悪くなかった。攻撃の中心はもちろんFWリオネル・メッシになるが、ファティは深さをもたらし、先発起用されたMFリキ・プッチも積極的にボールに絡んでリズムを生み出すなど、それぞれが持ち味を発揮している。序盤にはメッシが時間を作りセメドが背後へランニング。そこへ鋭いスルーパスが通るなど、スペースをうまく使った攻めも展開していた。

 しかし、やはり全体的に各駅停車のパスが多い。もちろんそれがバルセロナの魅力ではあるのだが、セティエン監督就任後はとくにテンポが上がる場面が極端に少なく、ただ回しているだけという状態が多い。

 この日も、メッシが縦パスを入れて足元でボールを受けても、再びそこで時間を作り最終的にはバックパスというシーンが散見。これを繰り返すことでメッシがより怖さを発揮するペナルティエリア付近で仕事ができなくなり、攻撃のクオリティは格段に落ちる。ショートパスによる中央からの攻めがこのチームの基本だが、サイド攻撃に転じた際のアイデアの無さも問題だ。

 さらに、プレッシャーにも弱い。とくに後半はセルタが勇気をもって前に出てきたが、バルセロナはその勢いに飲まれ、中盤で不用意なミスを連発。そこからカウンターに繋げられ、自陣深い位置まで押し込まれることが少なくなかった。引いた相手に対してはもちろんボールを持てるが、そうでない場合に機能不全となる。これはかなり致命的と言える。

 この日、スアレスは2ゴール挙げた。しかし、1点目はセットプレー、2点目はセルタ側のミスがあってのものと、流れの中から崩し切れたわけではない。試合後の『Who Scored』によるデータを見ても、ペナルティエリア外からのシュートが実に56%を占めている。そもそも得点の可能性が低かったと言わざるを得ない。今のバルセロナに魅力はない。

ラキティッチのアンカー起用は…

イバン・ラキティッチ
【写真:Getty Images】

 ただ、2失点を許した守備陣もやはり評価はできない。終盤のアスパスによるFKは防ぎようがなかったとはいえ、あまりにも簡単にやられてしまう場面が目立った。

 バルセロナは最終ラインが比較的高いのだが、カウンターのリスク管理がしっかりと行えていない。この日もセルタに背後を突かれる場面は前半からいくつもあったが、90分間を通して改善されることはなかった。

 MFイバン・ラキティッチのアンカー起用は厳しいと言わざるを得ない。インターセプトの積極性、前線へ飛び出す動きなどは効果的であったが、同選手のそうした活発な動きが仇となり、脇や背後のスペースを突かれることが少なくなかった。結果論にはなってしまうが、とくにセルタが前に出てきた後半に限って言えば、MFアルトゥーロ・ビダルを守備に重心を置いたアンカーに配置しても良かったかもしれない。

戦力的にラキティッチの今回のアンカー起用は仕方なかったとはいえ、やはり能力的にはイマイチだ。攻守のバランスを整える上でMFセルヒオ・ブスケッツやMFフレンキー・デ・ヨングという存在がいかに大きいかがわかる結果になったと言えるだろう。

 さらに、ラキティッチのエリアを効果的に使われたバルセロナは、最終ラインのカバーリングやケアなども曖昧だった。とくにDFサミュエル・ウンティティのパフォーマンスは評価できない。失点シーンではラキティッチと共に一人の選手をマークしてしまい、背後のスペースを空け、MFオカイ・ヨクシュルに飛び出しを許している。あまりに軽率な対応であった。

 しっかりと締めなければならないエリアを空け、さらに最終ラインが高いバルセロナは、セルタにカウンターが決まる良い条件を与えてしまったと言える。まずは中盤の守備にも問題があったが、最終ラインがそこをうまくケアできなかったのもまた問題だ。GKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンのセーブがなければ勝ち点0に終わってした可能性もあるだけに、今回の複数失点はしっかりと反省しなければならないだろう。

 優勝が少し遠のいたバルセロナ。次節の相手はアトレティコ・マドリーと曲者だが、勝利を手にし、ライバルであるマドリーに食らいつくことはできるか。

(文:小澤祐作)

【了】

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