マンUにはグリーンウッドがいる。正真正銘の怪物、強き赤い悪魔を支える18歳の魅力とは

プレミアリーグ第33節、マンチェスター・ユナイテッド対ボーンマスが現地時間4日に行われ、5-2でホームチームが勝利している。これでユナイテッドはリーグ再開後無敗を維持。チャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得に向け、調子はぐんぐんと上がっている。その中で非常に重要な役割を果たしたのは、評価を伸ばしている18歳の怪物だった。(文:小澤祐作)

2020年07月05日(Sun)11時23分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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前半で3点。攻撃陣が爆発

マンチェスター・ユナイテッド
【写真:Getty Images】

 現在のマンチェスター・ユナイテッドの勢いは、もはや止まらないのかもしれない。そう思わされるほど、オーレ・グンナー・スールシャール監督率いるチームは強かった。

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 現地時間4日、プレミアリーグ第33節でボーンマスと対戦したユナイテッドは、5-2と相手を一蹴。リーグ再開後無敗を維持し、4位チェルシーや3位レスターに引き続きプレッシャーを与えることになった。

 ただ、この日は序盤から思い通りの展開になったわけではない。ユナイテッドはボールを保持するものの、ボーンマスのコンパクトな守備を前に苦戦を強いられ、反対に相手のシンプルな速攻に手を焼いた。そして16分には、MFジュニア・スタニスラスに見事な突破を許して先制弾を献上。第30節のトッテナム戦以来となる、1点のビハインドを背負った。

 しかし、リードされたユナイテッドに焦りはまったく感じられず。同チームはトップ下に入ったMFブルーノ・フェルナンデスを中心に攻撃を展開し、確実にボールを動かしてボーンマス守備陣を左右へ揺さぶる。ポルトガル代表MFのゴール前での多彩なアイデアと意外性のあるラストパスは、幾度となくアウェイチームの脅威となっていた。

 そして29分、B・フェルナンデスの横パスを見事なコントロールで収めたFWメイソン・グリーンウッドが強烈なシュート。GKアーロン・ラムスデイルの手を弾いたボールはゴールへ吸い込まれ、ユナイテッドは同点に追いついた。

 さらに、35分にはFWマーカス・ラッシュフォードがPKを成功。前半ATにはFWアントニー・マルシャルが華麗なコントロールショットを沈めるなど、ユナイテッドは怒涛の反撃を披露。リーグ再開後の3試合で7得点を奪っている好調な攻撃陣が、ボーンマス相手にもその威力を余すことなく発揮したのである。

ミスを確実に突いたユナイテッド

 前半だけで3点を奪ったユナイテッド。しかし、2点をリードしたことで試合を早々に決めたかと思いきや、「自滅行為」で再びゲームを難しくしてしまった。後半開始からわずか4分、MFネマニャ・マティッチのパスが浮いてしまい、これを収めようとしたDFエリック・バイリーが痛恨のハンド。PKを献上すると、これをFWジョシュア・キングに冷静に沈められた。

 リーグ再開後の3試合でわずか1失点だったユナイテッド守備陣だが、この日は後半立ち上がりの時点で2失点。やや安定感を欠いた。50分にもカウンターから、最後はFWアルノー・グルンフェルトにゴールネットを揺らされている。これはオフサイド判定で失点とはならなかったが、ボーンマスの勢いに対して守備が少し揺らいでいたのは明らかだった。

 しかし、そんなディフェンス陣を救ったのは爆発的な攻撃力だった。ユナイテッドは2失点目からわずか5分後に再びグリーンウッド、59分にはB・フェルナンデスが直接フリーキックを叩き込むなど、5点を奪取。ボーンマスを引き離し、勝負を決定づけたのだった。

 エディ・ハウ監督の下、最終ラインから丁寧なビルドアップを狙っていたボーンマスだが、失い方は非常に悪かった。自陣深い位置で軽率なミスを犯し、ユナイテッドにプレゼントボールを送る。そこからうまく攻撃を展開され、何度もシュートを放たれた。4失点目は、まさにミスが引き金となって招いたもの。そこを見逃さず確実に仕留めたユナイテッドも見事だったが、ボーンマスにとっては、ここを改善しきれなかったのが非常に痛かったと言えるだろう。

 試合は5-2のまま終了。90分間で支配率69%、シュート数19本、被シュート数7本を記録するなど、まさにボーンマスを圧倒する格好となった。試合後にはスールシャール監督からも笑みがこぼれていたが、内容が結果にしっかりと結びついている現在のチームは、本当に魅力的と言えるだろう。

18歳の両足がボーンマスを粉砕

メイソン・グリーンウッド
【写真:Getty Images】

 B・フェルナンデスは相変わらず圧巻のパフォーマンスで、MFポール・ポグバは攻守に渡り奮闘、ラッシュフォードも久々のゴールを挙げるなど、過密日程の中でも選手個々の好調ぶりは目を見張る。途中出場のMFフレッジやFWオディオン・イガロらもうまく試合に入るなど、ベンチメンバーのコンディションも決して悪くなさそうだ。

 その中でもこの日、非常に重要な役割を果たしたのは18歳のメイソン・グリーンウッドだ。右サイドを定位置にしつつある若者は、同点弾、さらにボーンマスを突き放すチームの4点目を挙げるなど、決定的な場面で見事な仕事ぶりを披露した。

 グリーンウッドの魅力は、やはり決定力とフィニッシュワークの巧さ。このあたりはとても18歳と思えないほど、研ぎ澄まされたものがあると見て良い。

 同点弾の場面では、B・フェルナンデスの横パスに対してバックステップを踏むことで相手との距離を放し、シュートコースを確保。フィニッシュに移りやすいファーストコントロールも見事で、左足で豪快にネットを揺らした。

 自身2点目の場面では、ボールを受けてから外側へ逃げ、1対1の状況を作り出す。一度キックフェイントを入れて相手をストップさせ、その瞬間に再びボールをプッシュ。相手のマークが少しズレたのを見逃さず、独特なリズムから今度は右足でゴールを射抜いた。シュートに至るまでのアイデアとそれを体現する力こそが、グリーンウッドの怪物ぶりを証明している。

 DFヴィクトル・リンデロフは以前、グリーンウッドの利き足について「どちらかわからない」とコメントしたが、まさにその通りだ。左足と右足で精度が変わる、と感じたことはなく、威力もまったく遜色ない。そのため、対峙する選手からするとコースを切ることが難しくなる。どちら側でボールを持つのか、予測することが容易ではないからだ。18歳でこのレベルにあるのは、恐るべしだ。

 スールシャール監督も「彼はファンタスティックなゴールスコアラーで、特に2点目は今日の得点シーンにおいて非常に重要だった。インサイドに入って左足で蹴れる上に右足でも点を決められるのだから、DFも意識するようになる。彼は非常に才能のある選手で、我々も大切に育てていく。これからも彼に出場時間を与える」と手放しで称賛。グリーンウッドは今後も得点を伸ばしていくことになるだろう。

 3位レスターと4位チェルシーも勝利を収めたため、ユナイテッドの5位に動きはなかった。しかし、チャンピオンズリーグ(CL)出場権獲得を狙うチームで最も勢いがあるのは、赤い悪魔と言えるだろう。強気姿は、確実に戻ってきている。

(文:小澤祐作)

【了】

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