ブルーノ・フェルナンデスは何が凄いのか? マンUを変貌させた恐るべき影響力とプレースタイルを解説

強いマンチェスター・ユナイテッドが帰ってきた。新型コロナウィルスによる影響で、リーグ中断する以前から調子が戻りつつあったが、そこからさらに調子が上向いた。要因は様々あるが、1番の原動力となっているのは間違いなくブルーノ・フェルナンデスだ。そこで今回は、冬にスポルティングリスボンから加入した、若き司令塔のプレースタイルと影響力について言及していく。(文:内藤秀明)

2020年07月13日(Mon)9時00分配信

text by 内藤秀明 photo Getty Images
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視野の広さと心肺能力

ブルーノ・フェルナンデス
【写真:Getty Images】

 ブルーノ・フェルナンデスの最大の武器はその視野の広さだ。ピッチを隅々まで詳細に把握しているようで、その認識能力が様々な能力の根源となっている。

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 まずは良いポイントとしてポジショニング。ピッチ全体を把握しているからこそ、常に正しい位置で味方のサポートをすることができる。しかも心肺能力もトップクラスのため、攻守ともに何度もスプリントを繰り返すことができる。

 守備の場面で後方をカバーしてボールをカットした直後に、カウンターの起点となりスルーパスを通し、自身もボックス内に飛び込んでいく。そんなダイナミズム溢れるプレーを見せることができる。しかも攻守両面で常に顔を出すプレーを90分持続できるのだ。貢献度は大きい。

 その結果、ブルーノ・フェルナンデスが加入してからマンチェスター・ユナイテッドの攻撃が一気に円滑になった。その変化は前後のプレーを見れば一目瞭然だ。

 なにより驚きだったのは、デビュー戦となる2月1日のウォルバーハンプトン戦から「ブルーノ効果」がいきなり出ていたことだ。試合自体は引き分けに終わったが、内容は明らかに良化していた。チームに合流して数日でチームの中心としてプレーすることに成功したのだ。

視野の広さと攻撃面での豊富なアイディア

 そしてブルーノ・フェルナンデスは、この視野の広さと、攻撃面での豊富なアイディアを活用して得点を次々に生み出していく。チャンスメイクも得点パターンも非常に豊富なのだ。

 低い位置でボールを引き出して、裏のスペースにスルーパスを送るプレーや、前線の選手に強い縦パスを当てることで攻撃のスイッチを入れることもできる。あるいは自身が高い位置でボールを引き出し、ダイレクトではたくことで一気に相手を惑わすなどトリッキーなプレーもある。

 得点への関与でいうと、フリーキックではトリックプレーで相手の虚を突きアシストを記録することも、コーナーキックから巨漢に着実に合わせることも可能だ。もちろん派手なプレーだけではなく、なんでもないように見えるが抜群のタイミングで送る横パスで味方のミドルシュートをおぜん立てするプレーもある。

 なによりここぞという場面では自身もボックス内に飛び込んでいき、得意の右足でゴールを奪うこともできる。得点でいうと他にも相手の寄せが甘くシュートコースが見えると、30m以上離れていてもネットに強烈なシュートを突き刺すこともあるし、FKから直接ゴールを奪うことも可能だ。PKも百発百中である。

 ちなみに、ここまで書いた様々な起点となるプレーや、アシスト・得点パターンは、マンチェスター・ユナイテッドに加入して以降の半年間で、全て実際に成功させているプレーである。その結果、ここまでリーグ戦出場わずか10試合で、7ゴール6アシスト。1試合で確実に1点以上は直接関与するという衝撃の結果を残している。

 単純に身体能力や技術がある選手というわけでなく、非常に頭の良い選手なのだ。

突出したコーチング能力と活躍するチームメイトたち

マンチェスター・ユナイテッド
【写真:Getty Images】

 驚くべきことに、個の力で貢献できるだけでなく、周りも動かすことができるのもブルーノ・フェルナンデスの特徴だ。そのリーダーシップは前述のデビュー戦でも既に発揮していた。

 それどころか、後にわかったことだが、このポルトガル代表MFはユナイテッドでの練習初日からイングランド代表DFアーロン・ワン=ビサカに、サイドバックとしてのプレーについてアドバイスをしていたと、英メディア「マンチェスターイブニングニュース」の報道で発覚している。

 正直、筆者の日本人的感覚でいうと、新参者が練習初日やデビュー戦であれこれとチームメイトに指示を出すような行動が、チームに受け入れられるとは思えない。しかしながら、ブルーノはしっかりチ―ムに馴染み、大活躍しているのだから仰天だ。

 なんなら存在感が光る司令塔と仲良くなったアントニー・マルシャルは、長年課題として抱えていたオフザボールの動きがみるみるよくなっているという事象も発生している。実際にブルーノ・フェルナンデスからアドバイスがあったかはわからないが、ワン=ビサカにアドバイスをしていたような実績があることを考えると、ポルトガル人の影響を感じずにはいられない。

 様々な選手が「ブルーノ効果」の恩恵を受けているが、ポール・ポグバもそのうちの一人だ。これまではユナイテッドの攻撃の起点をポグバに依存することも多く、フランス代表MFは相手チームの徹底マークに苦しむことも多かった。

 しかしブルーノ・フェルナンデスの加入で、攻撃のパターンが増え、相手のマークの的を絞らせないことで、ポグバも相手の徹底マークに合うこともなくなり、苦しむ時間帯は減った。それどころかブルーノ・フェルナンデスとはパス交換のリズムが合うようで、今では生き生きとプレーしている。

最後に

 このように攻撃面で非常に貢献度の高いブルーノ・フェルナンデスの加入はユナイテッドというチームを一気に変えた。筆者は2006年以降のプレミアリーグをチェックしているが、一人の選手の加入がここまでチームを変えた事例はかなり稀だと感じている。少なくともマンチェスター・ユナイテッドではなかった。

 いずれにしても、一人のゲームメイカーの加入で、マンチェスター・ユナイテッドのレベルは格段に上昇した。これに呼応して、他の選手たちが成長し、あるいは上向きなチーム状況に魅力を感じて強力な新戦力が増えれば、そう遠くない未来ユナイテッドが再びリーグ王者に返り咲くのではないか。偉大なサー・アレックス・ファーガソンが退任して以降、ユナイテッドは最も希望に満ち溢れたチーム状態になっている。

 加入半年だが断言できる。そんな状況を一人で作りだしたブルーノ・フェルナンデスは、間違いなく歴史に残る偉大なプレイヤーだ。

(文:内藤秀明)

【了】

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