「グアルディオラはWボランチを用いない」。ダビド・シルバの創造性を引き出す方法とは?【10番役の8番・前編】

噛み砕いて考えれば考えるほど、グアルディオラのゲームモデルはシンプルそのものである。彼らがあれほど効果的に戦えるのは、同コンセプトを寸分の狂いもなく実行に移しているからこそだ。マンチェスター・シティの選手がどのように動き、どのようにパスを出しているのか、そしてその理由について明確に説明することを試みた『ポジショナルフットボール教典』から、『「10番」役の「8番」』の章より一部抜粋して前後編で公開する。今回は前編。(文:リー・スコット)

2020年08月02日(Sun)10時00分配信

text by リー・スコット photo Getty Images
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オランダの伝説的監督であるクライフからサッカーの戦術を学んだ

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【写真:Getty Images】

 サッカーは本質的にロマンと歴史のスポーツだと言える。偉大な選手や偉大なチームは尊敬の念を集め、時間を経るにつれてその存在はさらに大きく語り継がれていく。人々は良い部分を記憶に残し、悪い部分は忘れていく。プレーを取り巻くこのようなロマンティシズムが生み出すノスタルジーは、背番号という実体のない数字にまで拡大される。

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 長い年月の中で、背番号は選手のタイプと結び付けられ、不可分なものとなった。その中でも特に重要視されているのが背番号「10番」だろう。

 サッカーの文脈において「10番」とは、攻撃的なゲームメーカーを想起させる。中盤と前線の間のスペースで活動する選手だ。一般的にこのような選手は非常にクリエイティブなタイプであり、ファンを楽しませ、熱狂させることができるようなボールコントロールやスキルを有している。

 サッカーの歴史が生み出してきたトップクラスの「10番」といえば、すぐに何人もの名前を頭に浮かべることができる。特に順番をつけるわけではないが、ロベルト・バッジョ、フランチェスコ・トッティ、ジネディーヌ・ジダン……いくら挙げてもきりがないほどだ。象徴的な選手たちが象徴的な背番号を身につけてきた。

 だが、現代のサッカーは伝統的な「10番」像から脱却したと言えるかもしれない。グアルディオラのバルセロナが広く浸透させた4-3-3などの戦術構造の隆盛により、中盤の底に「4番」、より前のポジションに2人の「8番」を置く形を標準的なシステムとして用いるチームが増えてきた。

 過去10年間前後のサッカー界のトップレベルにおいては、このような中盤の形を好むチームが明らかに多くなった。チームによっては少し変化を加え、2人の「4番」をダブルボランチとして中盤の底に並べる場合もある。

 後者の手法では守備面がより堅実になると言えるが、これがグアルディオラのチームで用いられることは考えにくい。何よりグアルディオラ自身も、シングルボランチシステムの「4番」としてキャリアのすべてを過ごした選手だった。

 彼がまだ若い選手だった頃、オランダの伝説的監督であるクライフからサッカーの戦術を学んだ。クライフには、シングルボランチの形で戦うことで、2人の「4番」を置くよりもボールを前進させやすいという信念があった。

(文:リー・スコット)

9784862555526



『ポジショナルフットボール教典』


定価:本体¥2000+税

<書籍概要>
噛み砕いて考えれば考えるほど、グアルディオラのゲームモデルはシンプルそのものである。 彼らがあれほど効果的に戦えるのは、同コンセプトを寸分の狂いもなく実行に移しているからこそだ。 本書を通して、シティの選手がどのように動き、どのようにパスを出しているのか、そしてその理由について明確に説明することを試みたい。 最後まで読み終えたあと、グアルディオラが用いる戦術コンセプトを今までより少しでも楽しんでもらえるようになったとすれば、この試みは成功だったと見なすことができるはずだ。

詳細はこちらから

【了】

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