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久保建英、ビジャレアルでの起用法は? ポジションはどうなる…知将エメリの頭の中を読む

text by 舩木渉 photo by Getty Images

偉大なレジェンド、カソルラの後継者

久保建英
(赤字は新加入または獲得候補に挙げられている選手)

 ビジャレアルはELに挑戦する新シーズンに向けて、同大会での経験が豊富なエメリ監督を招へいした。だが、そもそも非常に完成度の高いチームを作り上げてリーグ戦5位フィニッシュに導いたハビエル・カジェハ監督を解任した人事に疑問符はつく。

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 その前任者のチームで最も印象的なパフォーマンスを見せていたのは35歳になったサンティ・カソルラだった。主に4-4-2の左サイドで起用された小柄なファンタジスタは、2019/20シーズンのリーグ戦で35試合出場11得点10アシストと驚異的な結果を残し、EL出場権を置き土産にカタールのアル・サッドへ去った。

 エメリ監督はすでに完成されたチームに入っていくのであれば、現状のメカニズムを維持したまま発展させていってもいいだろう。そこで久保にカソルラが務めていた崩しのキーマンたる役割を与えれば、なおさら面白い。

 カジェハ体制でカソルラは大きな自由を与えられていた。守備時などのスタートポジションは左サイドだが、自軍ボール保持時は中央まで進出してトップ下的に振る舞い、ピッチを幅広く動き回って度々決定的な場面に絡んでいた。

 そうした攻撃の核とも言える存在が抜けた穴は大きいが、エメリ新監督が似た役割を久保に重ねているなら、19歳の日本代表MFがカソルラの後継者として輝く可能性も十分にある。すなわち不可欠な存在としてスペインの強豪クラブの中心選手になるということだ。

 もしビジャレアルが2020/21シーズンも4-4-2を継続採用すれば、ジェラール・モレーノとパコ・アルカセルの2人を前線で共存させることができる。組み立てにも関与できる万能型の前者と、ペナルティエリア内で最大の力を発揮するワンタッチゴーラーの後者の相性はいい。さらにエメリ流を熟知したバッカが控えるとなれば、ベンチの層も心強い。

 ザンボ=アンギッサがもし退団することになっても、パレホやコクランを獲得できれば、イボーラの相方も対戦相手や状況に応じて変えられる。既存戦力でいえばマヌ・トリゲロスも貴重な駒になるだろう。

 エメリ監督はスター選手を手なずけるなどロッカールーム内での人心掌握に長けるタイプではなく、純粋な「戦術家」として知られる。試合ごとに細かく戦術やゲームプランを調整し、自らの策で対戦相手、特により強いチームを打ち負かすことに陶酔を感じるタイプと言えるだろう(たまに自らの策に溺れて自滅することもあるが)。

 だからこそ、新たに指揮する場所でどんなチームを作るかを妄想するのも捗るというもの。ビジャレアルのような欧州カップ戦を戦える中堅クラブは彼にうってつけの仕事場だ。

 久保はエメリ監督からどのような役割を授けられるだろうか。カソルラの後継者として自由を与えられるのか? 若い頃のダビド・シルバのようなトップ下なのか? あるいはレジェスのような逆足ウィングなのか? 新たなクラブでの挑戦には楽しみが尽きない。

(文:舩木渉)

【了】

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