マンU惨敗、ハリー・マグワイアにがっかり。チーム不調の要因? 疑わしいリーダーシップ…6失点惨敗で浮き彫りに

マンチェスター・ユナイテッド対トッテナムの一戦は1-6でアウェイチームが圧勝。ユナイテッドは、プレミアリーグでは2011年以来の6失点での敗戦となった。なおユナイテッドがリーグ戦で6失点したことは、1996年のサウサンプトン戦、2011年のシティ戦、そして今回のみである。何故こんな大量失点を喫してしまったのか。(文:内藤秀明)

2020年10月05日(Mon)10時02分配信

text by 内藤秀明 photo Getty Images
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そもそもユナイテッドの状態が悪い理由

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【写真:Getty Images】

 はじめに申し上げたいことがある。私はスパーズ戦のマンチェスター・ユナイテッドに失望している。何人かの選手と監督に対していくつか物申したいことがあるのだが、事細かに言い出せばきりがないので今回は一名にしぼって語っていきたい。

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 私は特にハリー・マグワイアに対して大きく失望している。

 ではマグワイアへの失望について語る前に、チーム状況についていくつか説明しておきたい。

 そもそも、例年マンチェスター・ユナイテッドの序盤戦は調子が悪い。それはファーガソン時代もそうだったし、昨季のスールシャール政権でも同様だ。シーズン末に近づくにつれてコンディションを上げて連勝して追い上げるのがユナイテッドのスタイルだ。

 また今季はイレギュラーな要因も沢山ある。ますコロナ禍のため休暇は短く、シーズン序盤から連戦である。これ自体は他のクラブも同様だが、加えてユナイテッドはヨーロッパリーグに勝ち残った影響で、さらに他のクラブより準備期間も短かった。

その影響の大きさは、チャンピオンズリーグに勝ち残った影響で、同じく休暇が短かったマンチェスター・シティが、初戦のウォルバーハンプトン戦にこそ勝ったものの、レスターに負け、リーズに引き分けた事実からも明らかだ。マンチェスターの両チームは揃ってコンディションが悪く、90分間戦える状態ではない。

 オーレ・グンナー・スールシャール監督も開幕戦のクリスタル・パレス戦後に「フィジカルの差が見られたのは確かだ。相手は我々よりもキレがあった。我々はなるべく早く追いつかなければいけない」と調整が遅れていることに関して認めている。

罪の大きいマグワイア

 スパーズ戦の内容にも同情の余地はある。ぶつかってきたエリック・ラメラを振り払うアントニー・マルシャルのアクションを、一発退場にした主審の判断は賛否両論あり、不運の側面もあったかもしれない。あれがなければ、ここまで試合は壊れなかったという考えもある。

 ただし6失点はやられすぎだ。

 退場がなかったとしても、マルシャルのドリブル突破からPKを獲得し、ブルーノ・フェルナンデスのPK成功で先制にこそ成功したものの、その後は退場前の時点で2失点を喫していた。そしてなにより、退場後のチームのプレーも、一部の選手を除けば、非常に物足りない内容だった。

 特にマグワイアのパフォーマンスには拙い点が多すぎたように思う。

 そもそも4分の1失点目ではクリアミスをした上に、ルーク・ショーのクリアを妨害して、タンギ・エンドンベレの同点弾を献上している。

 7分の2失点目では、ボールを収めようとするハリー・ケインにファールしたところまではまだよいが、定石である「リスタートを妨害する」を忘れたまま定位置に戻ろうとした。もちろんソン・フンミンが背後にいることにはまるで気づいていない。

 結果、ケインの狡猾なリスタートに虚を突かれ、その後、エースのスルーパスに抜け出したソン・フンミンに素早くゴールを奪われた。ソン・フンミンに関してはエリック・バイリーがマークにつくべきという面もあり、マグワイアだけが悪いわけではないかもしれないが、彼にも大きな非があることは明らかである。

マグワイアのリーダーシップに関する疑惑

 そして何より28分にマルシャルがピッチを去った後のチーム内を、マグワイアは上手くまとめることができなかった。戦術的な部分は監督にも責任はあるだろうが、ピッチ内にいないとできないリーダーとしての仕事をマグワイアは十分こなしたのだろうか。

 というのもこのチームで最も不安定なのはエリック・バイリーである。怪我が多いだけでなく、プレー自体にもムラッ気がある。プレミアの中でもトップクラスのスプリント能力があり、良い時のバイリーはワールドクラスだが、一方でリーダーの指示がないと安定的な活躍が望めない選手でもある。また自信を失っている時期には露骨にミスをする選手でもある。

 そういう意味ではキャプテンとして、チームに動揺が走り、様々な意味で難しい時間帯にケアするべきはバイリーだったように思える。ただ無情にもそんな懸念のバイリーのパスミスが、マルシャルの退場の直後に起こり、30分に3失点目を喫した。これで試合はさらに難しいものになってしまった。

 さて、さすがにこの失点に関して、「マグワイアが一番悪い」と責任を問うことには、無理があることには百も承知である。ミスのウェイトは明らかにバイリーのほうが重い。ただそれでも、マグワイアにもリーダーとしての行動が不十分で、ミスの一端を担っているような気がしてならない。

 というのもユナイテッドに加入しておよそ1年間、「マグワイアはリーダーである」という報道はちらほら目にするが、それの多くがスールシャールの発言やOBの発言なのである。つまり公平な第三者がソースの情報は少なく、マグワイアのリーダーシップを感じさせるエピソードはあまりでてこない。それはピッチ内でも同様だ。最終ラインで指示を出すことが多いのは、マグワイアよりもリンデロフなのだ。

 さすがにリーダーシップが全くないということもないだろうが、ユナイテッドのキャプテンにふさわしいかどうかは、やや悩ましいところである。

 しかもチームの規範であるべき主将のマグワイアは、夏の休暇中にバカンス先のギリシャで逮捕される事件も起こしている。警察側の発表とマグワイア側の主張は食い違っているため、真相は定かではない。

 ただ確かなことはマグワイアが問題を起こしたということ。本来はチームを引っ張るべき主将が、疑惑をかけられている状況は良いとはいえない。

そして警察に2晩拘留されており、オフにも関わらず心身ともに疲弊させた。その影響かはわからないが、今季のマグワイアは昨季では考えられないような軽率なミスが多くプレーの調子自体も悪い。

 いずれにしても、チームメイトからの信頼が揺るがない状態なのかは、やや不明である。それでも中心選手として、主将として監督から重宝されている状態は健全と言えるのだろうか。最悪の場合、チームとして何らかネガティブな空気が生まれ始めていてもおかしくない。

主将交代の決断をするべきか否か

 いずれにしても、マグワイアに軽率なミスがなく、リーダーシップを発揮できていれば、いくつかの失点は防げたはずなのだ。

 単純な不調に関しては、方法は個人それぞれだが、休みをもらうのかリフレッシュするのか、あるいは使われ続けることで調子を取り戻すのか、何らかの対策をとっていって欲しいところではある。

 ただ主将適正に対する疑惑に関しては、キャプテン剥奪というアクションをすぐにとるべきとも断言しにくい。この屈辱的な判断でマグワイアがさらに不調に陥れば大きな損失だ。リーダーシップの有無はともかく、巨体を活かした守備がユナイテッドの最終ラインに安定をもたらした事実もある。

 一方で、前任のキャプテンだったアシュリー・ヤングが退団した今年の冬の時点では、マグワイアが一番のリーダーだったかもしれないが、今はブルーノ・フェルナンデスというイングランド代表CB以上に強いカリスマを持つ選手がいる。後任がいる状態であり、変更するきっかけにもできる事件がある状態なので、変えるのなら今である。

 スパーズ戦の大敗をきっかけに、スールシャールは監督として、難しく、絶妙なバランス感覚が求められる判断が差し迫っている。この人事の行方はどうなるのか。

 いずれにしても様々な意味でマグワイアの去就がユナイテッドの今後を大きく左右するだろう。スールシャール監督のマネジメント能力が試される案件である。

(文:内藤秀明)

【了】

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