アーセナル、ニューカッスル戦は文句なし。オーバメヤンも久々爆発、追い風は確かに吹いている【分析コラム】

プレミアリーグ第19節、アーセナル対ニューカッスルが現地時間18日に行われ、3-0でホームチームが勝利している。ニューカッスルは前節から多くの変更を行っていたが、大失敗に終わった。一方のアーセナルはそんな相手の体たらくを見逃さず。エースにも久々に点が生まれるなど、申し分ない勝利を手に入れた。(文:小澤祐作)

2021年01月19日(Tue)11時48分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
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ニューカッスルの体たらくを見逃さず

アーセナル
【写真:Getty Images】

 プレミアリーグでは昨年12月12日に行われた第12節、ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン戦以来勝利から見放されているニューカッスル。そんな同チームを率いるスティーブ・ブルース監督は、第19節アーセナル戦で賭けに出た。ここ最近のメインだった5-4-1システムから4-4-2システムへ変更し、前節シェフィールド・ユナイテッド戦からスタメン8人を入れ替えたのである。

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 しかし、これが大失敗に終わった。ニューカッスルは立ち上がりからなかなかギアが上がらず、アーセナルにストレスを与えられ続け、攻守の切り替えは改善されるどころかどんどん悪くなっていく。個で打開できるアラン・サン=マクシマン不在の攻撃陣は完全に沈黙し、得点の可能性を感じたのは前半にあったカウンターのみ(それもほんのわずか…)。90分間で良いところは一つもなかった。

 そんなニューカッスルの体たらくを、復調の兆しを見せ始めているアーセナルが逃すはずなかった。

 ピエール=エメリク・オーバメヤンとブカヨ・サカの両サイドハーフはハーフスペースを執拗に狙い、それにより空いたエリアをキーラン・ティアニーとセドリック・ソアレスの両サイドバックが懸命なランニングで効果的に使う。最前線アレクサンドル・ラカゼットは的確に味方を生かし、エミル・スミス・ロウは果敢に動いてボールに絡み続けるなど、選手個々が持ち味を生かして早い時間からニューカッスルを困らせていた。

 セカンドボールの回収もあらゆるエリアで上回っており、アウェイチームはプレスの強度も低いので、アーセナルにとって敵陣深くに侵入することはそう難しくなかった。ニューカッスルに休み時間を与えず、いつ得点してもおかしくない雰囲気を作り出していたのである。

 結果、前半はニューカッスルに“お付き合い”する形で0-0で終えたものの、後半に入り一気に3得点を奪取。この日は守護神ベルント・レノの仕事量も少なく、3-0という綺麗な形で試合を終えることに成功した。スタッツもシュート数20本:4本、支配率66.4%:33.6%、パス成功率90%:75%と圧倒的。これでアーセナルはリーグ戦直近5試合の成績が4勝1分となっている。

スタメン復帰で絶大な存在感

 ここ最近のアーセナルは守備が非常に安定している。今節はニューカッスルの攻撃陣がかなり酷かったという点は否めないものの、プレミアリーグ4試合連続無失点は実に立派な成績である。

 とくに今回のニューカッスル戦は、最終ラインはもちろんのこと、中盤の安定感がいつにも増して目立っていた気がする。その理由として挙げられるのは、やはりトーマス・パーティの復帰が大きいと言えるだろう。

 昨年夏にアトレティコ・マドリードから5000万ユーロ(約60億円)という金額で加わったガーナ人MFは、第11節トッテナム戦で負傷交代を余儀なくされて以降、しばらく戦列を離れていたが、前節クリスタル・パレス戦で復帰。そしてこのニューカッスル戦では負傷明け後初のスタメン入りを果たしていた。

 そして、長くプレーするのは久しぶりだったはずだが、パーティはコンディション面の不安を一切感じさせない見事なパフォーマンスを披露。運動量が豊富で幅広いエリアをカバーでき、相変わらず守備強度が高く、ボランチのコンビを組んだグラニト・ジャカが前に飛び出ても中盤を引き締められる安心感がある。ニューカッスルに攻略される気配はまったく感じられなかった。

 ただ、強靭なフィジカルを武器にした守備能力の高さが売り、というのは間違っていないが、決してそれだけではないのがパーティの魅力の一つ。攻撃面でもかなり質の高いプレーを発揮できるのだ。

 それはニューカッスル戦でも大きく証明された。50分、パーティはパスを受け取ると、相手選手をかわし、その巨体からは想像できないようなソフトなロングパスでオーバメヤンへ展開。その後同選手がゴールへ結び付けるなど、アシストを記録したのである。

 こうしたパーティの展開力と非凡なパススキルは、アーセナルの攻撃が活性化されるという意味でも非常に重要なものとなっていた。ジャカだけでなく、ダブルボランチのもう一方から質の高いボールが出てくるのは、やはりチームとして大きな武器になる。それに加え守備能力の高さは一流なのだから、まさに反則だ。なお、ニューカッスル戦のパーティのパス成功率は95%。スタメンの中ではトップの成績だった。

 ミケル・アルテタ監督はアーセナルでの戦い方に慣れるには「もう少し時間がかかるだろう」としつつ「私たちはトミーを欠いていたが、彼にはこの存在感とオーラがある。だから私たちにとって特別な選手になってくれる」とパーティを称賛している。しばらくアーセナルにとってのキーマンとなりそうだ。

エースには久しぶりのゴールが

ピエール=エメリク・オーバメヤン
【写真:Getty Images】

 パーティの復帰後間もない活躍はグーナーにとって大きな喜びとなったに違いない。ただ、このニューカッスル戦ではもう一つ、彼らにとって嬉しいニュースがあった。エースのオーバメヤンが久しぶりにゴールネットを揺らしたことである。

 昨年9月に新たに3年契約を結んでサポーターを歓喜させたストライカーだったが、ピッチ上ではらしくない姿を見せることが多かった。プレミアリーグでは毎年のようにハイテンポで得点を重ねていたが、今季は過密日程の影響もあってか得点が伸びない。最後に決めたのは第13節サウサンプトン戦と、エースとしての仕事を果たせない日々が続いていたのだ。

 ニューカッスル戦も前半の出来は怪しかった。しかし、この日は無得点でスタジアムを後にすることはなかった。結果的に2得点を奪い、勝利の立役者となっている。

 1点目はパーティの素晴らしいフィードを受けて左サイドで1対1を仕掛ける。最後は自慢のスピードで相手を振り切り、左足で豪快にネットを揺らした。

 コミュニティシールドのリバプール戦や今季の開幕節フルアム戦の得点がそうだったように、敵陣深い位置で1対1を仕掛けられればオーバメヤンは抜群に強い。パーティの展開力により、そうした形に持って行けたことが大きかった。

 2点目はクロスを冷静に流し込んでいる。立役者は深い位置へ入り込み、ゴールラインぎりぎりでクロスへ持ち込んだソアレスだが、速いボールを冷静に流し込めるオーバメヤンの技術の高さはさすがといったところだ。

 今季プレミアリーグで1試合2得点を奪ったのはニューカッスル戦が初めて。オーバメヤンにとっても大きな意味を持つゲームとなったに違いない。ここからチームと共に調子を上げていけるか注目だ。

(文:小澤祐作)

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なぜ、あえて今アーセナルなのか。
あるアーセナル狂の英国人が「今すぐにでも隣からモウリーニョを呼んで守備を整理しろ」と大真面目に叫ぶほど、クラブは低迷期を迎えているにもかかわらず、である。
そのヒントはそれこそ、今に凝縮されている。
感染症を抑えながら経済を回す。世界は今、そんな無理難題に挑んでいる。
同じくアーセナル、特にアルセーヌ・ベンゲル時代のアーセナルは、一部から「うぶすぎる」と揶揄されながら、内容と結果を執拗に追い求めてきた。
そういった意味ではベンゲルが作り上げたアーセナルと今の世界は大いにリンクする。
ベンゲルが落とし込んだ理想にしどろもどろする今のアーセナルは、大袈裟に言えば社会の鏡のような気がしてならない。
だからこそ今、皮肉でもなんでもなく、ベンゲルの亡霊に苛まれてみるのも悪くない。
そして、アーセナルの未来を託されたミケル・アルテタは、ベンゲルの亡霊より遥かに大きなアーセナル信仰に対峙しなければならない。
ジョゼップ・グアルディオラの薫陶を受けたアーセナルに所縁のあるバスク人は、それこそ世界的信仰を直視するのか、それとも無視するのか。

“新アーセナル様式”の今後を追う。

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【了】

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