南野拓実のゴールを生んだ「不気味な動き」。サウサンプトンで恐怖の存在になるために期待されるのは?【分析コラム】

プレミアリーグ第23節、ニューカッスル対サウサンプトンが現地時間6日に行われ、3-2でホームチームが勝利している。リバプールからの期限付きでセインツに加わった南野拓実はこの試合で新天地デビュー。30分には得点をマークし、後半には退場者を誘発するなどインパクトを残した。(文:小澤祐作)

2021年02月07日(Sun)11時25分配信

text by 小澤祐作 photo Getty Images
Tags: , , , , , , , , , , ,

またも守備が崩壊

20210207_premiaerleague_getty
【写真:Getty Images】

 サウサンプトンにとって厳しい状況が続いている。雨に降られたセント・ジェームズ・パークでのニューカッスル戦後、ラルフ・ハーゼンヒュットル監督は「我々はより良い守備に戻る方法を迅速に見つけなければならない。もしこれができなければ、試合に勝つことは非常に難しい」というコメントを残した。

【今シーズンの南野拓実はDAZNで!
いつでもどこでも簡単視聴。1ヶ月無料お試し実施中】


 前節のマンチェスター・ユナイテッド戦はまさに悪夢だった。試合開始から5分も経たないうちに退場者を出し、数的不利に。その後ユナイテッドにサンドバッグのごとく殴られ続け、最終的に0-9というゲームの世界のようなスコアで敗戦を喫している。

 その一戦から中3日で迎えたニューカッスル戦でも、サウサンプトンの守備は崩壊してしまった。

 脅威となったのは生粋のドリブラーであるアラン・サン=マクシマンと働き屋のミゲル・アルミロンだ。サウサンプトンは縦への推進力のある両者を止めることにかなり苦労し、チェックが剥がされては危険なエリアへの侵入を許し、スペースも与えてしまった。セインツは16分と26分に失点を許すのだが、いずれもサン=マクシマンに左サイドを破られたことが原因となっていた。

 そして前半終了間際にも失点。今度はビルドアップ時のミスをアルミロンに突かれたことで奪われたものだった。前節は一人少なかったので大量失点は仕方ないと捉えることもできたが、今節に関しては決して言い訳できない。あまりにも守備が軟弱だった。

 結果論になってしまうが、この3失点は最後まで大きく響いた。後半途中からはニューカッスルに退場者と負傷者が出たことで9人対11人で戦うことができたが、得点は30分に奪ったものと後半開始早々の直接フリーキックによる2点のみ。守備を固める相手を最後の最後まで崩し切れず、2-3のまま試合終了のホイッスルを聞くことになってしまった。

 サウサンプトンはこれでリーグ戦5連敗。直近5試合での失点数は実に「18」にも積み重なっている。冒頭で記したハーゼンヒュットル監督のコメント通り、守備の改善はここからの巻き返しを図る上でも急務と言えるはずだ。

数少ない収穫となった南野

南野拓実
【写真:Getty Images】

 と、泥沼にハマっているサウサンプトンだが、ニューカッスル戦ではわずかながらも収穫があった。それが、先日リバプールからのレンタルという形でやって来た南野拓実の活躍である。

 前節ユナイテッド戦は登録が間に合わず欠場となった南野は、ニューカッスル戦でスタメン入りし新天地デビュー。注目されたポジションは4-4-2の左サイドハーフだった。

 南野は攻撃時、基本的に左サイドバックのライアン・バートランドが上がるスペースを消さないようハーフスペースに位置。ただ、ボールのある場所によってはツートップのチェ・アダムスとダニー・イングスの近くまで行き、彼らと頻繁にポジションを入れ替えるなど柔軟な動きを見せていた。仲間とトレーニングを行った時間はそう多くないだろうが、この辺りのアクションは割とスムーズだった印象だ。

 そして29分、南野はデビュー戦で見事にゴールを奪った。バートランドからのパスを華麗にコントロールし、利き足ではない左足を豪快に振り抜いている。

 左SBのバートランドが敵陣に侵入した際、南野は中央にいたが、左ハーフスペース付近にいたアダムスが中へ入って来ることを確認すると、南野は逆にもともとアダムスがいたポジションへ移動。そこでパスを引き出し、見事なファーストコントロールで相手のサイドバックとセンターバックのギャップを突いてシュートへと持ち込んでいる。

 ライン間を不気味に動いてボックス内へ飛び込んでいく、というのは南野が得意とするプレーだ。リバプールでは動き自体が良くてもなかなかボールが足元に来ず強みを発揮できるシーンは少なかったが、新天地デビュー戦で持ち味をアピールできたことは非常に大きい。その動きを見逃さなかったバートランドも見事だ。

 そして、南野は49分にも見せ場を作った。ハーフウェーライン付近からドリブルを開始し、ジェフ・ヘンドリックのファウルを誘発。アイルランド人MFはこの日2枚目のイエローカードを受け退場となっている。つまり、南野のプレーがサウサンプトンに数的優位な状況をもたらしたのである。

 ニューカッスルが数的不利となってからはサウサンプトンがパワープレーに転じたため南野の存在感は薄れてしまったが、ほぼぶっつけ本番状態で1ゴール、そして退場者誘発は見事の一言に尽きる。ハーゼンヒュットル監督も「素晴らしいゴールだった。彼らしい動きで我々を助けてくれた」と賞賛している。

今後、南野に期待するプレーは?

 バートランドの攻撃力を活かすためにスペースを与えながら、イングスやアダムスといったツートップと流動的にポジションを入れ替えボックス内へ侵入して行く、という動きは今後も多くの試合で見られることだろう。それが南野の大きなストロングポイントであるし、今後イングスらとの関係性がより深まれば、日本代表MFはもっと怖い存在になるかもしれない。

 守備面での貢献度も問題ないだろう。単純な対人戦が抜群に強いというわけではないが、リバプール在籍時から攻守の切り替えは誰よりも早かった。ハーゼンヒュットル監督率いるチームでも、その姿勢は大きな武器となるはずだ。

 そんな南野に今後期待したいのはボールを持った際のアクションだ。

 リバプール在籍時、南野はボールを受けても無難なパスが多く、相手の脅威となれた場面は少なかった。当然、これではチームメイトからの信頼を得ることはできず、自身の下へパスが入る回数が増えていくことはなかったのである。

 このニューカッスル戦でも、ボール保持時の怖さはそこまでなかった。ヘンドリックのファウルを誘発したシーンは良かったが、全体的には横や後ろへの無難なパスが多かった印象だ(後半終盤はパワープレーに転じたので仕方ないが)。

 南野はデビュー戦でゴールを決めた。味方からの“第一印象”という意味では申し分なく、今後リバプール在籍時よりもボールに触れる機会は増えるだろう。では、そこで何ができるのか。ハーゼンヒュットル監督が「いいパスといいドリブルで私たちを助けてくれるに違いない」と南野について話した通り、求められているのは当然オフ・ザ・ボール時の動きだけではない。今後は攻撃面においてもっと強引になってもいいはずだ。

 サウサンプトンはこの後、ウォルバーハンプトン、チェルシー、リーズ・ユナイテッド、エバートンと曲者との対戦が続く。そうした相手に南野がどこまで存在感を示すことができるか。引き続き注目だ。

(文:小澤祐作)

【了】

新着記事

↑top