リバプール、悪夢再来の要因は…。なぜマンCに大敗した? 蘇る3年前の記憶、GKアリソンのミスを誘発したグアルディオラの策略【分析コラム】

プレミアリーグ第23節、リバプール対マンチェスター・シティが現地時間7日に行われ、1-4でシティが勝利を収めた。なかなか調子の上がらないリバプールはGKアリソンのミスから2点を献上。前半は拮抗した展開だったが、ペップ・グアルディオラの修正力がシティに勝利を手繰り寄せた。(文:加藤健一)

2021年02月08日(Mon)9時47分配信

text by 加藤健一 photo Getty Images
Tags: , , , , , , , , , , , , , ,

違いを生んだスターリング

0114Sterling_getty
【写真:Getty Images】

 9連勝で首位を走るマンチェスター・シティと、アンフィールドで連敗中のリバプール。両者の調子は対照的だったが、1-4というスコアは衝撃的だった。

【今シーズンのリバプールはDAZNで!
いつでもどこでも簡単視聴。1ヶ月無料お試し実施中】


 前半はリバプールがやや優勢といったところだろうか。持ち前のセカンドボールの回収で優位に立ち、シュート本数でも5対2と上回った。ジョーダン・ヘンダーソンは「ゲームの大部分において、全体的なパフォーマンスにそこまで不満を抱く必要はないと思う」と試合後にコメント。ユルゲン・クロップも「試合の大部分は本当に、本当に良かった」と手応えを感じている。

 ただ、クリーンシート(無失点)を6試合継続しているシティのディフェンスは堅かった。ルベン・ディアスとジョン・ストーンズのコンビは集中力を切らさず、リバプールのFWと対峙している。

 左ウイングのラヒーム・スターリングは違いを生んでいた。イルカイ・ギュンドアンがPKを失敗して先制とはならなかったが、前半のPK獲得はスターリングのドリブルから生まれている。トレント・アレクサンダー=アーノルドが抜かれ、チアゴもサポートに来ていたが、ファビーニョの足がスターリングにかかってしまった。

 49分の先制シーンもスターリングが起点。これもアレクサンダー・アーノルドが抜かれ、ファビーニョが対応している。ファビーニョは前半のシーンの残像もあって詰め切れず、余裕があったスターリングはパスを選択。フィル・フォーデンのシュートはGKアリソンに防がれたが、こぼれ球をギュンドアンが詰めた。

 データサイト『Whoscored.com』によると、シティの攻撃の52%はスターリングのいる左サイドからだった。アレクサンダー・アーノルドのタックルが成功する場面もある。ただ、90分を通して見れば、スターリングを孤立させて1対1を仕掛けるというシティの作戦はうまくいっていた。

フラッシュバックする3年前のミス

20180528_karius_getty
【写真:Getty Images】

 GKのミスから失点。3年前のレアル・マドリード戦を思い出した。2018年5月26日、ウクライナの首都キエフで行われたUEFAチャンピオンズリーグ決勝で、GKロリス・カリウスは戦犯と呼ばれてしまう。

 51分、カリウスがデヤン・ロブレンに投げたボールがカリム・ベンゼマの出した足に当たり、そのままゴールへ吸い込まれる。83分には30mはある位置から放たれたガレス・ベイルのシュートがカリウスの正面に飛んだが、ファンブルしたボールはゴールネットを揺らした。

 シティ戦の2失点目と3失点目はGKアリソンが引き起こしたミスだった。ファビーニョからのバックパスを受けたアリソンのキックが短くなり、フォーデンへと渡ってしまう。フォーデンは縦に突破し、ラストパスを受けたギュンドアンが決めた。

 すると、その3分後に悪夢は再び起こる。ジョルジニオ・ワイナルドゥムのバックパスを受けたアリソンは左のファビーニョにつなごうとしたが、あろうことかベルナルド・シウバの下へ。浮き球のパスをスターリングがゴールに難なく押し込み、決定的な3点目をシティが決めた。

 しかし、アリソンをスケープゴートにしてはいけない。アリソンのミスはチームが引き起こしたものである。もっといえば、ハーフタイムに見せたシティの修正に、リバプールが対応しきれなかったことが遠因である。

秀逸だったシティの修正力

0208Alisson_getty
【写真:Getty Images】

 前半は20分あたりからリバプールが主導権を握った。ジョーダン・ヘンダーソンが最終ラインからのフィードでサイドにボールを供給し、セカンドボールを拾って敵陣に押し込む。ヘンダーソンは前半だけで7本のロングパスを供給。サイドバックは高い位置で攻撃に絡むことができた。

 劣勢となったシティはハーフタイムに修正してきた。前半は4-3-3だったが、相手のボール保持の局面ではベルナルド・シウバとフォーデンを2トップに並べる4-4-2に変更した。

 シティの2トップは、リバプールの両センターバックとアンカーのワイナルドゥムを監視した。2人のサイドハーフはリバプールのサイドバックへのパスコースを切る位置に立つ。センターバックから中盤にボールが入った瞬間、シティの2トップとダブルボランチ(ギュンドアンとロドリ)が挟んでボールを奪うのが狙いだった。

 もちろん、リバプールも黙ってそれを見ていたわけではない。67分にジェームズ・ミルナーとジェルダン・シャキリを投入。ミルナーをセンターバックの脇に落として3人が最終ラインに並ぶことで、シティの2トップに対して数的優位を作っている。

 しかし、シティが一枚上手だった。スターリングを前線に上げる3トップに修正して数的同数を確保する。そして、2点目の直前に投入されたガブリエウ・ジェズスが秀逸だった。パスコースを切りながらボールホルダーに寄せる動きは、センターフォワードが本職のジェズスだからこそできる動きだったかもしれない。

 90分間でアリソンが記録したボールタッチ数は46回。そのうち20回は、後半開始から3失点目を喫した76分までにマークしている。この時間帯、リバプールはビルドアップに苦しみ、アリソンにボールを下げる場面が多すぎた。直接的な原因はアリソンのミスだが、それを誘発したのはペップ・グアルディオラの策略だった。

 シティはリーグ戦10連勝で首位をキープ。一方のリバプールは無敵を誇ったアンフィールドで3連敗。力のぶつかり合いでは前半のように拮抗した展開になるが、修正力の差が直接対決でスコアの差として現れた。

(文:加藤健一)

【了】

新着記事

↑top