最強はPSGじゃない!? 仏を沸かす激アツ3クラブとは…赤字大補強で勝てず放出でも首位に【コラム】

パリ・サンジェルマン(PSG)はリーグ・アン第26節モナコ戦を0-2で落としている。これで今季リーグ戦すでに6敗目。カタール体制となってから最多の敗戦数を計上している。そのPSGから王座を奪おうと奮闘しているのが、リール、リヨン、モナコの3チームである。今季のリーグ・アンは、例年とはひと味違うエキサイティングな展開が期待できるかもしれない。(文:小川由紀子【フランス】)

2021年02月27日(Sat)11時00分配信

text by 小川由紀子 photo Getty Images
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PSGはバルセロナ戦大勝で燃え尽きた?

パリ・サンジェルマン
【写真:Getty Images】

 チャンピオンズリーグ(CL)・ラウンド16の1stレグで、バルセロナをカンプ・ノウで4-1で破る痛快な勝利を手にしたパリ・サンジェルマン(PSG)は、5日後のリーグ・アンでモナコにホームで0-2と敗れ、3位に順位を落とした。

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 前半と後半、それぞれ開始6分でモナコにゴールを許したPSGは、ボールポゼッション率75%と、ほぼ完全にゲームの流れを握ってはいたが、10本打ったシュートを1つも得点につなげることができず。バルセロナ相手にハットトリックと大爆発したキリアン・ムバッペも見せ場がなかった。

 バルセロナ戦でムバッペの1点目をアシストするなど、勝利に大きく寄与したマルコ・ヴェラッティは、負傷明けのコンディションを考慮してこの日はベンチスタート。2点ビハインドとなった時点でアンデル・エレーラと交代してピッチに上がったが、追撃の旗手にはなれず、「チャンピオンズリーグだけに出し切っていてはだめだ。フランス国内にも強敵はいる。リーグ・アンでも100%を発揮しなくては…」と試合後にもらした。

 マウリシオ・ポチェッティーノ監督は、「しっかりこの試合に集中しよう、と確認し合って臨んだ」 と、士気が下がっていたわけではないことを強調したが、PSG が、大勝のあとの試合で敗れたことは前にもある。彼らにとって特別な存在であるバルセロナ相手にあれだけ血湧き肉躍る対戦をしたあとで、燃え尽き症候群のような感覚になるのは想像できる。むしろこの試合では、それをうまく利用したモナコ側がうまかった。

 相手ボール時は5バックでしっかり最終ラインを固め、得点源のムバッペにはかなりの圧をかけて徹底マーク。これを90分間、集中を切らさず行えたこと、そして、数少ないチャンスをきっちりモノにしたことが勝因だった。

コバチ率いるモナコは要注意

 今季からモナコの指揮をとる元クロアチア代表MFニコ・コバチは、2018/19シーズンにバイエルン・ミュンヘンでリーグ&国内カップ戦の2冠を達成し、その前はフランクフルトで長谷部誠や鎌田大地を指揮した人物。モナコではシンプルにビルドアップするスタイルが印象的だが、彼が着任してから、1試合あたりの得点数が2013/14シーズンにリーグ・アンに復帰して以来初めて2点を超えている。

 その立役者の一人で、今季レバークーゼンから加入したFWケビン・フォラントは、入団後2ヶ月間はまったくゴールネットを揺らせなかったが、彼の良さを生かすべく、コバチ監督が4-3-3でのサイドアタッカーから4-4-2のセンターフォワードにスイッチしてからゴールを連発。すでに14点を決めている。

 PSG 戦後の会見でコバチ監督は、「チームはいま成長過程にある。ここまでだいぶ成長してきた。けれどまだまだタイトル候補には及ばない。目標は欧州カップ戦出場だ」と謙遜したが、12月20日の第16節から11 試合無敗を継続中と、モナコは尻上がり的に調子を上げている。指揮官はどうやらこのチームの操縦法を掴んできている様子だから、ここから終盤戦に向けて要注意の存在になりそうだ。

 そして、今季リーグ・アンのタイトルは、このモナコを含めたリヨン、リール、PSGの4つ巴の戦いだ。第26節を終えた時点で、首位リール(58)、2位リヨン(55)、3位PSG(54) 、4位モナコ(52) と並び、5位のRCランスは40ポイントと、ここで大きく差が開いている。(RCランスは今季の昇格組。さらに、クラブの経済支援のため、選手たち自らサラリー減額を申し出てのこの奮闘に拍手!)。

PSGの連覇は止まるのか?

 ここまで敗戦を2に抑えているリールは、失点数リーグ最小と守備が固い。GKはPSG育ちのマイク・メニャン。2018/19シーズンに、サウサンプトンで吉田麻也の相棒だったポルトガル人のジョゼ・フォンテが加わってから、ゴール前の守備は見違えて骨太になった。37歳の彼は今季も絶対的な信頼を背負ってバックラインを統制している。

 加えてリールの特徴は、得点力のあるフォワード陣を揃えていること。トラブゾンスポルでも共闘したユスフ・ヤズジュとブラク・ユルマズのトルコ人ペア、そしてイコネ、バンバ、デイビッドの“ジョナタン・トリオ”。全体の7割以上の得点を挙げるこの5人のアタッカーが、毎試合のようにきっちり点を獲っている。守備陣はしっかり守り、攻撃陣は点をとる。当たり前のようだが、これが実現できていることは、チームとして機能している証だ。

 リヨンは、ムサ・デンベレがこの冬のメルカートでアトレティコ・マドリードにレンタルされたが、メンフィス・デパイ、ウセム・アワールら昨年のCLベスト4進出に貢献した主力は健在。リーグ・アン初挑戦ながら9得点3アシストを記録する昨年のリーグ・ドゥ(2部)得点王ティノ・カドウェア、そしてミランから加入したルーカス・パケタと、新戦力も期待通りのパフォーマンスを見せている。中盤や守備ラインも含め、主力がほぼ定着している上に、その彼らに長期離脱の負傷者が出ていないこともプラス要素だ。

 この4者間での直接対決での戦績を見ると、リールはPSGとリヨンとはドロー、モナコには勝利と一敗もしていない。リヨンも、リールとは引き分けたが、PSGとモナコには勝利と、無敗である。

 モナコはリールとリヨンには敗れたが、すでに2戦消化したPSG戦では2勝している。唯一PSGだけが、リールにスコアレスドロー、リヨンとモナコには黒星と一勝もあげられていない。メルカートで赤字を出しているPSGに対し、リールとリヨンは黒字、という状況で競り勝っているのもすごい。

 今季のPSGはすでに6敗と、2011/12シーズンにカタール体制となってから最多の敗戦数を計上している。昨季、CLの決勝まで到達したことで、もっとも短いインターバルで新シーズンに突入したことが影響している上に、今季もCL との両立というハンデがある。

 モナコとリヨンは欧州カップ戦には出場しておらず、リールはヨーロッパリーグ(EL)決勝トーナメント初戦でアヤックスにホームで1-2と敗れているから、25日の2ndレグで敗退すればリーグ・アンに専念することになる。この違いも、終盤のタイトルレースに影響するだろう。

 見る側にとっては、ここ数年のようなPSGの一頭状態ではなく、4者が競いあう展開は大歓迎。今季のリーグ・アンは、一戦ごとの結果でランキングが変わるエキサイティングな終盤戦が期待できそうだ。

(文:小川由紀子【フランス】)

【了】

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