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マンUの輝くSBは「動き出したら止められない」。マンC撃破に導いた攻撃の「最後のピース」とは?【分析コラム】

プレミアリーグ第27節、マンチェスター・シティ対マンチェスター・ユナイテッドのマンチェスターダービーが現地時間7日に行われ、0-2でユナイテッドが勝利を収めた。2分に先制したユナイテッドは、シティの攻撃に耐えながらカウンターから追加点を奪っている。左サイドバックのルーク・ショーは、攻撃のラストピースとして輝いている。(文:加藤健一)

シリーズ:分析コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

ルーク・ショーは最後のピース

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【写真:Getty Images】

 マンチェスター・シティは前半だけで13本のシュートを放った。しかし、そのうち8本はペナルティーエリアの外から。そのうち3本はマンチェスター・ユナイテッドの選手にブロックされ、3本はディーン・ヘンダーソンにセーブ。娘の誕生に付き添ったダビド・デ・ヘアが不在の中、ディーン・ヘンダーソンが前節に続いてゴールマウスを守っている。

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 なかなか決定的なチャンスが作れないシティは、徐々に前掛かりになっていく。そして、それを逆手に取ったユナイテッドが50分に追加点を挙げた。

 ディーン・ヘンダーソンのロングスローを受けたルーク・ショーが、ドリブルでアタッキングサードに運ぶ。ショーからパスを受けたラッシュフォードがペナルティーエリアに侵入してショーに戻すと、左足のシュートはファーサイドのゴールネットを揺らした。ヘンダーソンの手をボールが離れてわずか12秒。鮮やかなカウンターが決まった。

 不動の左サイドバックとして、ショーは攻守両面で存在感を放っている。「動き出したら止めることはほぼできない」と指揮官は称賛。ハリー・マグワイアはショーについて、「攻撃におけるジグソーパズルの最後の部分」と語る。ユナイテッドは前線の迫力もさることながら、後ろから飛び出してくるショーが、攻撃の「最後のピース」となった。

マンUの堅い壁

「最初のゴールの後、最初の5分から10分は少し試合に入れていなかったが、その後はゲームに戻ることができた」

 ペップ・グアルディオラ監督は試合後にそう振り返った。立ち上がりはユナイテッドのプレッシングに苦しんだが、グアルディオラも黙って見ているわけではない。ケビン・デ・ブライネがサイドに開いてラッシュフォードを引き付け、ボールを前進させている。「解決するのに15分かかった」とデ・ブライネも語るように、15分を過ぎるとボールをスムーズに運べるようになっていた。

 ラスト1/3までボールを運べても、そこからゴールまでが遠い。ユナイテッドと対戦する多くのチームが直面する困難の1つである。

 ハーフスペースを縦に突破するのはシティの常套手段だが、ユナイテッドもそれを知り尽くしている。ユナイテッドのサイドバックがサイドにおびき出されれば、マクトミネイかフレッジがセンターバックの脇を必ず埋めている。右サイドではダニエル・ジェームズの献身的なプレスバックも光っていた。

 シティはカイル・ウォーカーとフィル・フォーデンを入れる。オレクサンドル・ジンチェンコがインサイドで、ウォーカーがワイドに開き、サイドバックとウイングの関係性を両サイドで入れ替えた。しかし、ユナイテッドの堅い壁を最後まで割ることはできなかった。

 シティは90分間で解決策を見出すことができなかった。しかし、シティとユナイテッドの差はまだ11ポイントもある。「我々に必要なのは回復だ。トップにいる我々とは少し差がある」。シティにとっては致命的な弱点が露呈したわけでもなく、グアルディオラを焦らせる勝利とはならなかった。

(文:加藤健一)

【了】

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