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オランダの消えた逸材5人(5)。天国から地獄へ…レアル在籍を経験し一時ラッパーにも。稀有なキャリアを築くDF

シリーズ:消えた逸材5人 text by 編集部 photo by Getty Images

若くして才能を披露して高く評価された選手が、そのままスター選手として活躍し続ける保証はない。怪我やプレッシャーに苦しみコンディションを落とす選手がいれば、ピッチ外での問題で活躍の場を失っていく選手も多い。今回は大きな期待を背負いながらも、大舞台から姿を消したオランダ人選手を紹介する。

レアルにも在籍したラッパー

ロイストン・ドレンテ
【写真:Getty Images】



DF:ロイストン・ドレンテ
現所属クラブ:ラシン・ムルシア(スペイン4部)


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 名門フェイエノールトでプロキャリアのスタートを切ったロイストン・ドレンテは、わずか2年目にしてレギュラーの座を奪取。さらに2007年夏に開催されたUEFA U-21欧州選手権では最優秀選手賞に輝く活躍を見せるなど、早くから攻撃的サイドバックとして大きく評価を高めていた。そして同年8月、当時20歳の若手選手に対しては破格と言える移籍金1300万ユーロ(約16億円)を支払ったレアル・マドリードに加入することになる。

 しかし、マドリーという世界有数のビッグクラブでプレーすることは、これが初の国外挑戦だったドレンテにとっては難しかったようだ。加入当初はチームに負傷者が多かったことでそれなりの出番はあったが、DFとして守備力の低さを疑問視されていた。そのため左SBとして主力に躍り出ることはできず、一列前やウイングで使われるように。ただそれも、ほとんどが途中出場だった。結局マドリーでは最後まで期待に応えられず、2010年にレンタル移籍を経験することになる。

 マドリーで居場所を失ったドレンテのキャリアはそこから歯車が狂った。エルクレス、エバートンへ期限付き移籍した後はロシアに渡り、そこからレディング、シェフィールド・ウェンズデー、カイセリ・エルシエススポルに在籍。2015年にはついに欧州を離れ、UAEでプレーしている。もちろん、ここまで記したクラブにはいずれも短期間しかおらず、評価を取り戻すような活躍を見せたとは言い難かった。

 ただ、ドレンテのキャリアはこれで終わらない。2017年に現役引退しラッパーへの転向を発表した…のだったが、なんと2018年1月に現役復帰したのである。さらにその半年後にはスパルタ・ロッテルダムに加入。その後に3部のコザッケン・ボーイズにも在籍した。そして今年、ドレンテは2013年に設立されたばかりのスペイン4部ラシン・ムルシアに加入することが決まったのである。まるで一つのラップ曲にできそうな、そんなキャリアを歩んでいる。

【了】

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